電気電子系 News
今回、電気電子系151名の中から14名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです
近年、地球温暖化やゼロカーボン社会の推進といった背景から、鉄道や自動車などに蓄電池搭載が進んでいます。
電車のブレーキ時には、駆動用の電動機は発電機として動作し、架線に電力を返す動作を行います。 しかし、付近にその電力を使う他の車両がいない場合にはそのエネルギーはジュール熱として放散されてしまいます。 この問題に対する対策として、電力貯蔵装置の鉄道車両への搭載が注目されており、 車載バッテリーにブレーキ時の電力を送ることでエネルギーを有効活用することができます。
自動車分野においても,脱炭素社会の実現に向けて燃料電池を搭載した自動車の開発が積極的に行われています。 燃料電池自動車は、発電の際に二酸化炭素を排出せず環境負荷が小さい特徴があり、注目を集めています。 一般的な燃料電池自動車では、燃料電池に加えてモータを駆動するための駆動用バッテリーとして別の二次電池を搭載しています。
このように、バッテリー搭載はエネルギー利用の効率化の観点からとても有効な技術ですが、 電気鉄道や燃料電池自動車においては車両に供給される電圧と車載バッテリーの電圧が異なるという共通の課題があります。 具体的には、日本の直流電気鉄道の架線の電圧は約1500 Vであり、燃料電池自動車の燃料電池の電圧は約300 V程度ですが、 車載バッテリーの電圧は約600 Vとなっています。
そのため、車両には直流電圧の変換を行うDC-DCコンバータを搭載する必要があります。 DC-DCコンバータは車両に搭載する必要があるため小型化・軽量化が重要な課題であり、特に回路を構成する素子の1つである インダクタの小型化が重要です。
本研究では、インダクタの小型化が可能なコンバータとして提案されている回路について検討を行いました。 上記コンバータに関しては、電力制御法における課題や燃料電池自動車用途への拡張について検討の余地があり、 それらの点について研究を行いました。
本研究にて提案、研究したコンバータが実用化されることにより、将来的に蓄電池を搭載した鉄道車両や燃料電池自動車の開発におけるハードルが下がり、より交通部門の省エネルギー化が期待されます。
このたびは学士優秀学生賞という栄えある賞に選出していただき、大変うれしく思います。 たくさんのことを考え、検討することができる1年間だったと感じています。
萩原先生をはじめ、パワーエレクトロニクス研究室の先生方、研究室の先輩、同期のみなさんとたくさんの議論を交わすことができたおかげで、成果を残すことができたように思います。
今後は修士課程へと進みますが、自分自身の研究をさらに深め、その成果を的確に伝えられるような能力をより向上できたらと考えています。