電気電子系 News

2024年度優秀修士論文賞受賞―森山健太さん(宮本研究室)

光無線給電における送光側ビーム形状制御に関する研究

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2025.04.07

2024年度は電気電子系151名の中から14名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

森山健太氏

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

光無線給電(OWPT)はレーザーなどの光源と太陽電池を用いた新たな無線電力伝送方式です本技術はスマホの非接触充電などの既存の無線給電技術と比べ,数km先への長距離利用可能な点や簡素な構成において優位と言えます.身近なIoT機器から,ドローン,水中ロボットへの給電,宇宙利用など様々な応用が期待され,社会を大きく変える可能性のある技術です.本技術が広く普及するころには,室内照明によって様々な機器が給電され,究極はコンセントの概念がなくなってしまうかもしれません.そのためには技術的にも安全性の観点からも様々な課題が存在し,我々の研究室では光無線給電社会の実現に向けて研究に取り組んでいます.

私の研究は高効率な給電や周囲の安全性を考慮した光ビームの形状制御に取り組んでいました.光無線給電は新たな技術でもあり,ドローンを動かしたり,長距離給電の実験などが注目されがちですが,実際の運用を考えると,給電システム内の各技術的要素の追求が不可欠です.アプローチの違いとしては前者が”光無線給電でなにができるか”を提供するのに対し,後者は”どのようにしたら光無線給電を実現できるのか”にフォーカスしているとも言えます.私は光無線給電において機器に斜めに光が入射する状況に注目し,対応可能なビーム形状制御手法の有効性を評価しました.本研究結果が給電可能なエリアの拡大や,インフラ構築の際のコスト削減に貢献することも確認できました.光無線給電社会の実現にはまだ時間がかかるかもしれませんが,いつかお目にかかれる日を楽しみにしております。今後の研究のさらなる発展を心よりお祈り申し上げます.

受賞の感想

学生生活の最後にこのような賞をいただきとても光栄です.ご指導いただいた宮本先生,共に過ごした研究室の仲間に大変感謝申し上げます.

3年間の間に様々な経験をしましたが,配属当初の先生の言葉を今でも覚えています.私の能力不足によって共に研究予定の優秀な先輩に迷惑をかけるかもしれないと先生に不安を吐露した際に,”東工大で研究できる環境が与えられていることがどんなに貴重で,それを与えれている君にも素質が全くないわけではない.先に言い訳を作ってそれに甘えてはいけない”と言われたことがとても印象的です.先生は学生の個性を認めつつ,自身の哲学をぶつけて成長を促してくれる方でした.先生の指導に加え,その先輩がとても優しかったのでここまで研究を進めることができました.

また私は学部2,3年の間は新型コロナウイルスの影響で想像していた大学生活を送ることができず,大学の思い出はほとんどが研究生活の思い出です.協力して長時間の実験をしたり,ジーンズを洗いに海に行ったり,ミカン狩りに行ったりと,良い仲間に巡り会えました.

3年前とは違って研究生活で積み重ねた時間が糧となり,胸を張って卒業することができます.ありがとうございました.

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