電気電子系 News
Dバンド帯CMOSフェーズドアレイ送信機のためのベクトル変調型移相器に関する研究
今回、電気電子系85名の中から9名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行い、この賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。
近年のデータトラフィックの増加や、既存の周波数帯の逼迫などの問題を受けて、100GHz以上の周波数帯であるサブテラヘルツ帯にいよる超高速通信を用いた第6世代移動通信システム(6G)の実現が期待されています。サブテラヘルツ帯の中でも、特にDバンド帯とよばれる周波数帯は酸素分子の影響を受けにくく空気中での減衰が比較的小さいため、6G情報インフラのための帯域として注目されています。
サブテラヘルツ帯は広帯域を確保できるため高データレート通信を実現できるという長所がある一方、自由空間における伝搬損失が高く、従来方式では伝送可能距離が短くなるという欠点があります。この欠点を克服する際に重要となるのがフェーズドアレイ構成によるビームフォーミング技術です。フェーズドアレイ方式では、アンテナを多並列化することで出力電力を増加させ、またそれぞれのアンテナ出力電力に一定の位相差を与え伝送することで出力ビームに指向性を与えます。位相を調整する際に極めて重要となるのが移相器と呼ばれるエレメントです。本研究では、Dバンド帯CMOSフェーズドアレイ送信機のためのベクトル変調型移相器について提案しました。
回路設計を行う上で、専門知識だけでなく、回路シミュレーションやレイアウト設計などの専門的な経験も身につける必要があり、研究室に入った当初は苦労していました。ですが、岡田教授や研究室の先輩方のご指導のおかげで、そういった専門的な経験も身につけることができました。
この度は学士優秀学生賞に選出していただき、大変光栄に思います。今日まで支えてくださった指導教員である岡田健一教授、並びに研究室の先輩方に心より感謝申し上げます。修士課程においても、無線通信機の研究を継続し精進していきたいと思っております。