電気電子系 News
大気圧低温プラズマ処理によるフッ素系樹脂の接着力強化
今回、電気電子系85名の中から9名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行い、この賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。
近年、複合材料の活用に伴って接着の重要性が高まっています。沖野研究室では、大気圧低温プラズマ処理によってさまざまな物質の接着力を強化する研究を行っています。我々の研究室で開発した、さまざまな気体でプラズマを生成可能なマルチガスプラズマジェットでは、物質ごとに有効なプラズマガス種や処理条件を調べることができます。本研究では、医療や半導体デバイスなど、様々な分野で重要な材料となっているPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の接着力強化を行いました。先行研究で使われていたヘリウムプラズマだけでなく、酸素、窒素、二酸化炭素など、さまざまな気体を用いたプラズマでPTFEの表面を処理し、効果的な処理条件を調べました。その結果、反応性の高い活性種を高濃度で生成でき、物質表面への極性基付与が起きやすいと考えられる酸素プラズマを用いることで、処理前と比べて約2.7倍の接着力を得ることができました。さらに、親水化効果も、先行研究と比べて約6倍の速度で同等の効果を得ることができました。この研究が進めば、例えば伝送ロスの少ない物質であるPTFEが高周波回路基板の材料として使いやすくなり、次世代高速通信システムの発展につながると考えています。
このたびは栄誉ある賞をいただけて大変光栄です。1年前に研究室に配属されたとき、右も左もわからなかった私に丁寧に指導していただいた沖野先生をはじめ、研究を支えてくださった研究室の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。修士課程でも真摯に研究に取り組みたいと思います。副賞にいただいた図書カードのおかげで、欲しかった小説や漫画を色々買えてとても嬉しかったです。