電気電子系 News

2023年度優秀修士論文賞 受賞!― 星野 麻衣子さん(渡辺研究室)―

Si/CaF₂ 四重障壁共鳴トンネル構造を用いた不揮発性抵抗変化型メモリ素子に関する研究

  • RSS

2024.04.03

今回、電気電子系166名の中から16名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

Taki Plazaで撮影

  1. (Taki Plazaで撮影)
  2. (Taki Plazaで撮影)

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

本研究は、Siと親和性の高い材料であるCaF2を用いた共鳴トンネルダイオード(RTD)を、超高速な不揮発性メモリとして実現することを目的としています。

半導体の微細化限界が訪れると言われていますが、その解決策として、新原理の不揮発性メモリを用いた新たなアーキテクチャや、量子効果デバイスの集積回路への導入などが考えられています。

私の所属する渡辺研究室では、SiとCaF2の原子層厚のヘテロ構造を用いた新原理デバイスの研究を行っています。
その中でもSi/CaF2ヘテロ構造を用いたRTDは、電圧を印加することで量子井戸内に電荷が蓄積し、不揮発な抵抗変化を起こすことがこれまでの研究で明らかになっています。
これは量子井戸内のサブバンド間遷移という現象を利用するため、SRAMと同等かそれ以上の高速な動作速度が期待できます。

本研究ではこの性質に着目し、Si/CaF2四重障壁RTDという新たな構造を用いることで、不揮発性メモリとして機能するデバイスを提案し、作製と評価を行いました。
不揮発性メモリとして機能するためには、繰り返し安定して動作することや、データを保持する時間が十分にあることが求められます。

結果として、高速な抵抗変化動作を生じることや、高耐久性や長いデータ保持時間を持つ可能性を示し、この構造を用いた不揮発性メモリの実現に一歩近づくことできたと考えています。

将来的には、DRAMやFlashメモリに置き換わり、更にMRAMやReRAMを上回るような超高速動作かつ低消費電力な不揮発性メモリの実現を目指しています。

受賞の感想

この度は、優秀修士論文賞という名誉な賞をいただき、誠に光栄です。
私は修士課程から東京工業大学に入学しましたが、以前より憧れていた大学でこのように研究を評価していただくことができ、大変嬉しく思います。
今回受賞できたのは、日頃よりご指導いただいた渡辺先生、共に過ごした研究室の仲間、そして支えてくださった友人や家族のおかげです。

大学院生活では、本当に多くのことを学び経験することができました。
はじめは右も左も分からない状態から研究を始めましたが、試行錯誤を繰り返すうちに研究の面白さに気付くことができ、大きく成長できたと思います。
この研究は大学院生活の集大成であり、これまで学んできたことを注ぎ込んだものです。これからは半導体とは異なる業界に就職することになりますが、何かしらの形で半導体分野に貢献したいと考えています。

最後に、受賞に携わったすべての方々に心から感謝申し上げます。

  • RSS

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE