電気電子系 News
生体磁場計測に向けたContinuously Excited Ramsey法によるダイヤモンド量子センサの高感度化
今回、電気電子系166名の中から16名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。
ダイヤモンド量子センサはダイヤモンド中の窒素-空孔欠陥(NVセンタ)の電子スピンのエネルギー変化を精密に測定することで環境の磁場や電場や温度などを高感度にセンシングするデバイスです。ダイヤモンド量子センサは常温常圧、広ダイナミックレンジで動作可能であるため多岐にわたる応用先が考えられますが、特にヒト脳磁計測などの高感度生体磁場計測への応用が期待されています。NVセンタを用いた脳磁図(MEG)の実現により、装置の小型化と低価格化が期待されます。NVセンタを用いたMEG測定は世界初の試みであり、多くの課題が存在します。
私は修士課程においてセンサの磁場感度向上を目的とした研究を行いました。生体磁場計測の従来手法としてはContinuous wave-Optically detected magnetic resonance(CW-ODMR)が用いられてきましたが、本研究ではCW-ODMRよりも高感度に測定することが期待され、かつ、実験セットアップがCW-ODMRと同程度にシンプルな測定手法であるContinuously excited(CE) RamseyContinuously excited(CE) Ramseyをベースに、量子操作の適用によるNVセンタのスピンコヒーレンス時間の伸長および磁場感度のレーザー強度依存性の解明に取り組みました。本研究で得られた成果により、CE-Ramseyのさらなる高感度化可能性を示すことができたと思います。
この度は優秀修士論文賞をいただき、大変光栄に思います。研究内容が評価され、受賞できたのはひとえに周りの方々に支えていただいたおかげです。波多野先生、岩崎先生には研究について暖かくご指導いただき、積極的に学会やセミナーに参加する機会をいただきました。また、実験および理論について丁寧に指導してくださった博士課程の藤崎さん、研究員の皆様に感謝申し上げます。ともに研究生活を送った研究室の同期、秘書様、メンバーの皆様のおかげで充実した修士課程を過ごすことができました。そして、進学を応援し支えてくれた母に感謝いたします。博士課程でも引き続き波多野・岩崎研究室で研究に励み、ダイヤモンド量子センサによる脳磁計の実現に取り組んでいきます。