電気電子系 News

2022年度優秀修士論文賞 受賞!― 後藤 匠さん(梶川研究室)―

アンチストークス蛍光を用いた微量液体の温度測定

  • RSS

2023.04.07

今回、電気電子系164名の中から17名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

後藤 匠さん

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

本研究の目的は、アンチストークス(AS)蛍光を示す色素を使った微小領域の温度測定材料をつきとめることです。細胞等の体積が1mm³以下の微小な対象物の温度を測定する際、熱電対等の接触が必要なプローブを用いると、プローブの熱容量が温度に影響を与えるために正確な温度を測定することは困難です。また、熱放射測定による非接触温度測定は一定の面積を持つ検出器が必要であるため、微小領域への適用は困難です。そこで、これまでに量子ドット、ナノダイアモンド、色素でラベルされた高分子(色素/高分子)からの蛍光測定が検討されてきました。

これらの材料には、高感度であることや液性に依存しないなどの特徴がある一方で、環境負荷の大きいCdを主成分としていたり、温度領域が狭いことなどの問題点があります。

本研究では、低コストで環境負荷が小さいAS蛍光を示す色素を使った微小領域の温度測定材料について研究しました。

AS蛍光は、励起光より短い波長の蛍光が発生する現象です。熱的に励起される振動エネルギーを使った蛍光の短波長化が起こるので、温度依存性が大きく、励起波長における溶液の吸収が非常に小さいという利点があります。これらの色素分子を含む微量液体からの蛍光強度や蛍光ピーク波長の温度依存性を調べることで、より高感度で正確な微小領域の温度測定の実現につながります。

受賞の感想

このような素晴らしい賞をいただき、誠に光栄に思います。当初は研究をうまく進められず、先生方には多大な迷惑をかけておりましたが、いつも辛抱強く、丁寧に指導していただいたおかげで、受賞することができました。今回の受賞は日頃からご指導いただいた梶川浩太郎教授、當麻真奈助教、共に研究に励んだ研究室の仲間、そして研究に全力で取り組めるよう生活を支えてくれた家族のおかげだと思います。この場を借りて皆様に心より感謝いたします。

  • RSS

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE