電気電子系 News
低慣性系統に連系する直流送電用変換器の制御に関する研究
今回、電気電子系約70名の中から9名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行い、この賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。
私の研究は低慣性系統に接続される直流送電システムの制御に関する研究で、この研究によって再生可能エネルギーが大量に導入されても安定した電力系統を維持することが可能になると考えています。
現在カーボンニュートラルの達成に向けて再生可能エネルギーの急速な導入が進んでいるわけですが、その多くは大規模需要地から遠く離れた場所に導入されると予想されます。そこで、再エネで発電した電力を輸送するための手段として大容量・長距離の送電に適する直流送電システムの大規模な導入が検討されています。
また、これまで発電方法の大半を占めていた火力発電や原子力発電はタービンや同期発電機のような巨大な物体が回転することで電力を生み出していたため、電力系統で生じた変動を慣性エネルギーで吸収することで安定化することができました。しかし、再エネの代表格である太陽光発電は物理的に動いている部分がありませんし、風力発電も回転していますがその多くは構造上慣性エネルギーを出力できないため、再エネ電源が増加すると電力系統が不安定になってしまいます。
そこで今回は、大量に再エネが導入された電力系統に対して大容量の直流送電システムが接続される場合を想定したシミュレーションを行い、直流送電システムの制御手法の比較を行いました。これによって、再エネが大量に導入された場合における直流送電システム制御手法の課題が明確になったと考えています。
時間をかけて取り組んだ学士特定課題研究に対してこのような賞をいただくことができ、大変嬉しく思います。
まずはこの研究を進めるにあたり、親身にご指導いただきました佐野憲一朗助教に感謝申し上げます。私がこの賞を頂くことができたのは佐野先生のご指導のおかげです。
また、シミュレーションモデルの作成にあたってご助言をいただきました河辺研究室の河辺賢一助教をはじめ、発表会や講義などを通してご指導いただきました電力グループの先生方、研究室で他愛ない話をしあった同期の方々に改めて感謝申し上げます。
今後はこれに満足することなく、修士課程でもさらに上を目指して研究を続けてゆく所存です。