電気電子系 News

2021年度学士優秀論文賞 受賞!― 阿部 鷹介さん(山田研究室)―

CIGS太陽電池モジュールの透明導電膜抵抗評価と解析

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2022.04.14

今回、電気電子系約100名の中から9名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

左:友人 右:阿部鷹介さん

左:友人 右:阿部鷹介さん

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?また、特に苦心した点などがあったら教えてください。

持続可能な社会を達成するため、世界中で再生可能エネルギーへの注目が高まっています。その中でも太陽電池を利用した太陽光発電が将来的に主力電源となることが期待されており、活発に研究開発が行われています。特に本研究で扱ったCIGS太陽電池は、薄膜化が可能な点、長期的な信頼性やコスト面で優れており、現在主流である結晶シリコン太陽電池に迫る勢いで成長しています。しかし、現状のCIGS太陽電池で莫大な電力需要を賄うには性能が不十分であり、さらなる変換効率向上が求められています。

一般的な太陽電池モジュールの変換効率低下の一因として、モジュール化に伴う直列抵抗の増加が挙げられますが、CIGS太陽電池モジュールでは透明導電膜(ZnO:B)のシート抵抗、ZnO:Bと裏面電極(Mo)のコンタクト抵抗が直列抵抗の主要因と考えられています。本研究では、これらの抵抗を全直列抵抗から分離・評価する手法を開発し、効率改善の指針を解析しました。その結果、特殊なサンプルを使用せず、完成されたモジュールから直列抵抗を2つの主成分へ分離することに成功し、特に影響の大きいZnO:Bシート抵抗を評価することが可能となりました。ZnO:Bシート抵抗低下によって変換効率が向上することはシミュレーションにより確認できましたが、現状のCIGSのバンドギャップ(1.1eV程度)では効率向上に限界があり、ワイドギャップ化(1.4eV)による可能性を検討しました。シミュレーションの結果、CIGSのワイドギャップ化は直列抵抗及びZnO:Bによるフリーキャリア吸収の影響を低減し、CIGS太陽電池モジュールの高効率化が図られることが示されました。

受賞の感想

この度は学士優秀論文賞を受賞することができ、大変うれしく思います。また、学位授与式において電気電子系の副代表にも選出していただき、満足のいく形で学士課程を終えることが出来ました。このような結果も、素晴らしい授業をしてくださった先生方、研究でご指導をいただいた山田明教授や研究室メンバーのおかげです。お世話になった全ての方々にこの場を借りて感謝いたします。

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