電気電子系 News

2021年度優秀修士論文賞 受賞!― 福田 遼太郎さん(山田・宮島研究室)―

電子線励起電流(EBIC)法を用いたCu(In,Ga)Se2太陽電池の電子収集効率評価

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2022.04.15

今回、電気電子系約140名の中から13名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

福田遼太郎さん(右)と山田明教授(左)。奥は太陽電池製膜装置。

福田遼太郎さん(右)と山田明教授(左)。奥は太陽電池製膜装置。

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

温室効果ガスの大幅な削減は、世界全体の以前からの大きな目標のひとつであります。脱炭素化に向けて、太陽光発電は新しい電源として注目を集めています。
我々は、その中でもCu(In,Ga)Se2(CIGS)薄膜太陽電池を研究しています。薄膜太陽電池は、その名のとおり、普及しているシリコン太陽電池に比べ、厚さが1/100ほどと非常に薄い太陽電池です。軽量・フレキシブルであり、車載や設置場所の制限を受けないさまざまな用途が期待されています。一方、PN接合界面付近・粒界などの微小領域の評価が従来の手法では困難であり、高効率化に向けた構造解析において、いまだ伸びしろがあります。

当研究室では、これらの領域を評価できる新たな測定手法として、電子ビーム誘起電流(EBIC)測定に注目しております。CIGS太陽電池への適用において、EBIC理論モデルと測定結果との間に大きな乖離が発生することがわかっています。この乖離が界面付近と粒界上において強く発生していることから、我々は、乖離原因特定が両微小領域の構造モデル化の指針になると考えました。本研究では、体系的に特異EBIC応答を説明できる、統一CIGS構造モデルの構築をシミュレーションにより達成しました。この成果により、従来の測定が困難である界面・粒界の構造を、EBIC法を用いて定性的に評価することが可能になりました。

界面および粒界は薄膜多結晶太陽電池の大きな効率制限要素であり、これらの構造解析を推し進め、適切に設計・製膜方法改善につなげることで、太陽電池の変換効率の向上を図り、脱炭素化社会へと大きく貢献していきます。

受賞の感想

このような大変名誉な賞をいただけて、大変うれしく思います。学部四年から取り組み続けてきた研究を、このような形で評価していただけたこと、身に余る光栄です。様々なご指導いただきました先生方、研究員・研究室の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。
これからも研究を更に深化、発展させ、新たな社会の創出のため全力を尽くしていきたいと考えております。

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