電気電子系 News
高品質量子光源形成に向けたマイクロ波プラズマCVDを用いたダイヤモンド保護膜形成
今回、電気電子系約140名の中から13名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。
廣川一樹さん
私は盗聴に対して安全な通信手段である量子ネットワークを実現させるために必要な量子光源の研究を行っておりました。量子光源の候補として優れた光学特性を有するダイヤモンド中のⅣ族 -空孔 カラーセンター が注目されており、その中でも スズ- 空孔(SnV)および 鉛-空孔(PbV)センター はケルビン温度での長い スピンコヒーレンス時間が期待され特に注目されています 。しかし 、高品質な SnV、PbVを 作製する際には 2100℃の高温高圧アニールを行うため基板表面のエッチングや合成を引き起こし、量子光源の除去やナノフォトニクス構造形成が困難という課題がありました。
本研究では、 基板表面にダイヤモンド保護膜を堆積させ、HPHTアニールを行いそして表面研磨を行うことで この問題を解決する手法を試みました。その結果、HPHTアニールのエッチングから量子光源を保護し、そして表面研磨によって表面平坦化を達成することができました。そのため今後の展望として光共振器やピラー構造による光取り出し効率の向上などナノフォトニクス構造形成を期待することができます。
このような素晴らしい賞をいただき大変嬉しく感じております。このことは日頃よりご指導いただきました岩崎先生を始めとする研究室の皆様のおかげです。研究のゴールはまだ先ですがある程度形にすることができ、その結果がこのような賞を通じて評価していただけたことは自分にとって自信となりました。今年で社会人となり異なる場所に進むことになりましたが、研究で学んだことというのは社会に出たときに必ず自分を助けてくれるものであり、そして研究で学んだことを少しでも世の中に還元したいと感じております。