電気電子系 News
今回、電気電子系約140名の中から13名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。
本研究では、強誘電材料AlScNのスイッチングメカニズムを理論的に解析しました。AlScNは卓越した強誘電特性からFeRAMへの使用が期待されている材料です。2019年にその強誘電性が発見されてから、本研究室ではAlScNの研究に取り組んでいます。私の研究では、窒素原子を分極方向を変える位置まで移動させながら全エネルギーを計算しポテンシャルの安定点を調べることで、グレインで全ての窒素が移動するモデルが起こりそうと結論づけることができました。さらに、スイッチング電界が窒素腔孔濃度に依存することを発見し、グレインで全ての窒素がスイッチングするかどうかは窒素腔孔濃度に依存すると分かりました。
先に述べたように、強誘電材料としてのAlScNは非常に新しい材料です。この材料は窒素腔孔に起因してリーク電流が増大するなど克服しなければいけない課題がまだまだあります。この材料のスイッチングメカニズムに関する論文は少なく、膜中の様子を理論的に解析できたことは新材料の実用化を進めることに少しでも貢献できたと考えています。
優秀修士論文賞という大変名誉な賞を受賞できたことは大変嬉しく思います。学部4年からご指導いただいた角嶋先生並びに、理論計算を行うにあたって計算の基礎から教えてくださった松下先生に非常に感謝しております。