電気電子系 News

2021年度学士優秀論文賞 受賞!― 大橋 涼真さん(間中・田口研究室)―

分子配向制御によるCuPcを用いたOFETの高移動度化に関する研究

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2022.04.14

今回、電気電子系約100名の中から9名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

(左)田口 大准教授、(中央)大橋 涼真さん、(右)間中 孝彰教授

(左)田口 大准教授、(中央)大橋 涼真さん、(右)間中 孝彰教授

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

間中・田口研究室では、有機エレクトロニクスに関する研究を行っています。例えば最近では、有機ELなどに馴染みがあるのではないでしょうか?

半導体は、今やほぼ全ての電子機器に使われているので、現代社会に欠かせない非常に重要なものです。従来のシリコンなどの無機半導体と比べて、有機半導体は柔軟、軽量、安価、大面積での製造が可能と言った様々なメリットが存在し、注目を集めています。しかしながら、有機半導体の移動度(物質の電気の流れやすさの指標)は無機半導体と比べて著しく低く、実用化する上では移動度を無機半導体並に向上させる必要があります。

移動度を向上させるための工夫の1つに「分子配向制御」というものがあります。非対称的な有機材料の分子結晶には、電気が流れやすい方向と流れにくい方向が存在します(電気的異方性)。そこで、電気を流したい方向に分子の向きを上手く揃えてあげることで、移動度を向上させることができます。

本研究では、道路標識や新幹線などの塗料にも使われているCuPcという有機半導体材料に着目しました。CuPcを用いた有機電界効果トランジスタ(OFET)の移動度を向上させるために、工業的に液晶ディスプレイなどの配向制御にも使われている「ラビング法」という方法で分子配向制御を行いました。また、結晶を加熱処理し、結晶の構造が変化した際に電気的・光学的異方性がどのように変化するかを調べました。

結果、分子配向制御と結晶の相転移を組み合わせることにより、何の処理も施していないサンプルと比べて移動度を約30倍に向上させることに成功しました。また、本研究室が誇る「時間分解顕微電界誘起光第二次高調波発生法(TRM-SHG法)」という、デバイス内を移動するキャリアを可視化する測定によって、CuPc内のキャリアの移動を可視化し移動度を評価することに初めて成功しました。

本研究で明らかになったCuPcの移動度の向上に関する知見が何らかの形で有機エレクトロニクスの発展に寄与し、より便利な世の中になれば嬉しいです。

受賞の感想

この度は学士優秀学生賞をいただきまして、大変嬉しく思います。成果を出せたのは、研究をご指導いただいた先生方や、様々なことを教えていただいた研究室の先輩や同期のおかげだと思います。本当にありがとうございました。

卒業後は修士課程には行かずに就職となりますが、就職先でも研究室で学んだことを活かして成果を出し続けて行きたいと思います!

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