電気電子系 News

2020年度優秀修士論文賞 受賞! #8 ― 熊谷 颯人さん (菅原研究室) ―

ウェアラブルデバイス応用を目指した,体温で発電する熱電発電モジュールに関する研究

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2021.04.07

今回、電気電子系約140名の中から15名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

吉田隼さん(左),瀧口憲一朗さん(真ん中),熊谷颯人さん(右) 研究室生活で,支え合いながらも切磋琢磨した大切な同期です。

吉田隼さん(左),瀧口憲一朗さん(中央),熊谷颯人さん(右:受賞者)
研究室生活で,支え合いながらも切磋琢磨した大切な同期です。

この研究はどんな内容ですか?

私の研究は体温を用いたマイクロ熱電発電モジュールに関するもので、高い出力電力が得られる新しいデバイス構造を考案して、その効果を明らかにしました。

どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

この研究は、近年注目を集めているIoH(Internet-of-human)で役に立つと考えています。IoHはヒトを対象としたIoTのような電子システムで、医療・介護・ヘルスケアも分野で期待されています。体温を用いたマイクロ熱電発電モジュールはこのIoHにおけるマン・マシン・インターフェイスとなるウェアラブル端末の電源として用いることができます。今回、私が修士論文で開発した人体からの微弱な熱流を効果的に電力に変換できる熱電発電モジュール技術をウェアラブル端末の電源として利用することで、わざわざ外部電源から充電する必要がなくなります。これはAlways-onが必要なIoHの端末に適した電源技術になると考えています。

この研究の重要な課題と解決策は何でしたか?

体温を用いたマイクロ熱電発電モジュールでは、デバイスの熱抵抗の最適化が極めて重要になりますが、このためには熱電発電素子の熱絶縁技術と最適設計技術が重要になります。真空を熱絶縁に用いれば高い出力が得られますが、これでは熱電発電素子部の機械的強度を確保することが難しくなりモジュールへの実装も容易にはできません。そこで、高い出力電力を得るために、新たな熱絶縁の構造を提案し、この構造を取り入れたマイクロ熱電発電モジュールの構造最適化技術を開発しました。この技術ではモジュールの機械的強度を損なうことなく高い出力が得られます。修士論文ではこのような新たなデバイス構造の提案からはじめ、モデリング、構造最適化、出力の高精度解析などを詳細に研究した結果をまとめました。

受賞の感想

提案した新構造は、いくつもの構造を提案しては、検討・評価とリバイスという作業を繰り返して、ようやく到達することができたものです。私自身も驚くほどよい性能を持つ構造を考案できたと満足していますし、この結果を初めて見た時にとても嬉しかったことを今でも鮮明に覚えています。成果を出すまでにかなり時間がかかりましたが、このような形で評価していただけたことは大変嬉しく思います。また、学部と修士の3年間ご指導いただいた指導教員の先生にはたいへんお世話になり、また構想発表や中間発表で貴重なアドバイスをいただいた電気電子系の先生方にも感謝しています。この 3年間の経験を生かして、就職先の企業でも活躍できるような人になりたいと思います。

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