電気電子系 News
応力アシスト磁化反転型MRAM用の超磁歪SmFe2膜と圧電体の複合構造形成
今回、電気電子系約140名の中から15名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。
磁性体を用いた磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)に関する研究を行なっています。次世代の不揮発性メモリであるMRAMは、高速動作や高耐久性などの利点を持ち、ストレージクラスメモリへの応用が期待されています。しかし、MRAMの不揮発性記憶素子である磁気トンネル接合(MTJ)の磁化反転にはスピン流の注入を用いるため、情報書き換え時に必要な電流密度が大きくなります。これにより不揮発性による低消費電力効果は限定的となってしまいます。
中川研究室では、MTJにおける磁化反転時の電流密度低減を目指し、負の超磁歪を持つSmFe2薄膜をフリー層に用いたMTJと、その周囲に形成した圧電体から成る圧力印加構造で構成されるピエゾエレクトロニック・磁気トンネル接合(PE-MTJ)を提案しています。
修士課程の2年間ではPE-MTJの実現に向けて、垂直磁気異方性(PMA)と負の超磁歪を同時に有するSmFe2薄膜と圧電体薄膜を同一下地上に形成するプロセスの検討を行い、PMAと負の超磁歪を同時に有するSmFe2薄膜と圧電体薄膜を同一下地上に作製することに成功しました。
この研究が発展することにより、情報書き換え時に必要な電力が小さい新たなMRAMが実現でき、メモリの低消費電力化に貢献できると考えられます。
優秀修士論文賞を受賞することができ、大変嬉しく思います。今回の受賞は私一人だけでは決して達成できませんでした。研究の中で数多く指導していただいた先輩方、共に研究を行い協力して頂いた中川研究室のメンバー、ならびに私の研究にご協力頂いた全ての方々に感謝申し上げます。
そして何より、本研究において,終始的確かつ熱心にご指導して頂きました中川茂樹教授、高村陽太助教に心から感謝申し上げます。