電気電子系 News
鉄系強磁性半導体(InFe)Sbにおける異常ネルンスト効果の評価
2025年度は電気電子コース124名(9月修了9名,3月修了115名)の中から10名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

卒業式において、指導教員のPham先生とのツーショット
近年データセンターにおける電力消費や廃熱が問題視されているように、現代社会における膨大なエネルギーロスは深刻な社会課題の一つです。この課題を解決するための第一段階として高度な熱センシング技術の必要性が挙げられます。そこで近年、熱流を電気信号として検出することができる熱電効果の一種である、主に磁性材料で観測される異常ネルンスト効果を用いた熱センシングが注目されています。異常ネルンスト効果を利用した素子は、同様に熱電効果として知られるゼーベック効果を用いた従来の素子と比較し構造の単純さやフレキシブル性において利点があります。熱電効果を利用した素子には熱流から起電力への高い変換効率が求められますが、異常ネルンスト効果はゼーベック効果と比較し変換効率が低いことが知られておりより広い範囲での材料探索が必要でした。
そこで本研究では未探索である鉄系強磁性半導体(InFe)Sbに着目しその異常ネルンスト効果を評価すること、また熱電効果として利用するために(InFe)Sbのキュリー温度向上の2点を目的とし、研究を行いました。
結果として結晶成長を最適化することで460 Kという世界最高のキュリー温度を実現したとともに、また鉄系強磁性半導体(InFe)Sbにおける異常ネルンスト効果が従来の磁性材料と比較し-1.3~-3.2 μV/Kという高い値を示すことを発見しました。この結果は本研究の対象領域であるスピンカロリトロニクスにおける鉄系強磁性半導体の有用性を示すものであり、将来的により高効率なエネルギー利用技術の確立の一助となると考えています。本研究成果はApplied Physics Letters誌の注目論文 (Featured Article)として論文を掲載させていただきました。
修士論文賞の受賞、並びに電気電子コースの代表に選出いただき、大変光栄に存じます。日頃より暖かく支えてくださったPham教授並びに研究室の皆様、生活を支えてくれた家族に深く感謝します。Pham研究室では学部4年次より修士修了まで3年間在籍し、様々な経験を積ませていただくことができました。この経験を活かし今後もより一層精進してまいります。