電気電子系 News
2025年度は電気電子系103名(9月卒業8名,3月卒業95名)の中から9名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行い、この賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

昨今、上空を自在に移動するドローンや空飛ぶ自動車などが話題となっており、それらとの通信を確保する手段として、移動体通信の活用が期待されています。藤井・太田研究室では世界に先駆けて、地上セルと同一周波数で上空もサービスエリア化する“移動通信三次元空間セル構成”を提案しています。
現在の携帯通信は主に地上端末との通信を前提として設計されており、上空端末との通信を効率よく構築するためには、基地局と上空端末間の電波伝搬特性の解析及びそれを反映した電波伝搬変動モデルが不可欠です。
本研究では、基地局と上空を飛行する上空端末間の電波伝搬変動モデルを検討しました。従来の上空の電波伝搬変動モデルは、基地局と上空端末が見通しであることから直接波と周辺の建物の反射・回折で発生する散乱波が重畳した所謂 “仲上-Rice変動モデル”が一般的でしたが、市街地上空の伝搬変動の測定結果にはそれでは説明しきれない変動が見られました。この伝搬変動を解析すると、直接波と散乱波に加えて、建物屋上からの強い反射波が含まれることが明らかになりました。そこで、従来の仲上-Rice変動モデルに、反射波を加えた新たな上空の電波伝搬変動モデルを提案し、併せてその特性を測定データから解析する方法を明らかにしました。
提案モデルは、従来の仲上-Rice変動モデルの重要な指標であるKファクタ(直接波電力と散乱波電力の比)と新たに定義したKTファクタ(反射波電力と散乱波電力の比)の二つの指標で表せる伝搬変動モデルであり、従来の仲上-Rice変動モデルを完全に包含した伝搬変動モデルであることが大きな特徴です。
この研究は、今後地上から上空へと利用範囲を拡張する“移動通信三次元空間セル構成”を構築するための技術基盤の一つになると考えています。
このたびは、2025年度学士優秀学生賞という大変名誉ある賞をいただき、心より嬉しく思います。
研究を進めるにあたり、日頃から丁寧にご指導くださった藤井先生には深く感謝しております。また、支えてくださった研究室の皆さまにも心より御礼申し上げます。
来年度からは社会人となりますが、大学での研究を通して培った、課題に粘り強く向き合う姿勢と論理的に考える力を今後の仕事にも生かしていきたいと考えています。