電気電子系 News
2025年度は電気電子コース124名(9月修了9名,3月修了115名)の中から10名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

寺岡 楓さん
20世紀半ばに集積回路が登場してから、その高性能化はトランジスタの度重なる微細化により達成されてきました。本研究では、その微細化をさらに推し進めるため、二硫化タングステン(WS2)という、わずか0.65 nmの薄さでトランジスタのチャネル部分に用いることができる材料における、p型動作を想定した寄生抵抗の低減に取り組みました。寄生抵抗とは、トランジスタのチャネルに直列に接続される抵抗成分であり、トランジスタの動作スピードの低下や消費電力の増大などを招く大きな要因の一つです。WS2を用いたトランジスタの寄生抵抗を低減するため、本研究では2つのアプローチを検討しました。1つは薄い絶縁膜をWS2と金属の界面に挿入する方法、もう1つは従来のシリコンデバイス同様にWS2をp型にドーピングする方法です。これらの研究の結果、寄生抵抗を低減することに成功いたしました。
また、ドーピングを施したWS2膜を用いて実際にトランジスタを作製し、p型の動作特性を示すことも実証しました。今後さらに研究を重ねていくことで、実用的なトランジスタとして適用可能なレベルまで寄生抵抗を低減できれば、より高性能な集積回路の開発に繋がり、ひいてはスマートフォンやクラウド、AIといった分野のさらなる発展に貢献できると考えています。
優秀修士論文賞の受賞、並びに電気電子コースの副代表に選出いただき、大変光栄に存じます。日頃より暖かく支えてくださった研究室の皆様や関係する先生方に心より感謝申し上げます。中でも、お忙しいところ日ごろから丁寧にご指導くださった若林先生には、深く感謝申し上げます。研究に関わることだけでなく、一生のスキルとして活用できる多くの学びを得ることができました。若林研究室で培った経験とスキルを原動力に、今後もより一層精進してまいります。