電気電子系 News
溶液プロセスで作製した液晶性Ph-BTBT-10極薄膜の結晶性と有機トランジスタ特性評価
2025年度は電気電子系103名(9月卒業8名,3月卒業95名)の中から9名が、特定課題研究に関する優れた論文発表を行い、この賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

山田はるかさん(左)、飯野裕明准教授(右)
本研究では、液晶性有機半導体であるPh-BTBT-10の自発的な結晶構造転移について研究を行っています。
近年、有機半導体は、フレキシブルデバイスへの応用が期待できることや、印刷・溶液プロセスによって低コストで製造できることから注目を集めています。中でも液晶性有機半導体は、分子が自発的に整列する性質を持つため、表面平坦性に優れた結晶薄膜を実現できる点が特徴です。
本研究で対象とした液晶性有機半導体Ph-BTBT-10は、熱アニール処理(有機薄膜の加熱処理)によってトランジスタの移動度が大きく向上することが知られています[1]。これは、薄膜の結晶構造がモノレイヤー構造と呼ばれる結晶構造からバイレイヤー構造と呼ばれる結晶構造へと変化するためです。
しかし、フレキシブル基板は一般に熱に弱いため、非加熱の手法で同様の構造変化を実現できれば、高性能な有機トランジスタの普及に貢献できる可能性があります。
そこで本研究では、Ph-BTBT-10の極薄膜では自発的な結晶構造変化が起こるという結果に着目し、溶液プロセスで作製した極薄膜における構造変化とトランジスタ特性との関係について評価を行いました。
[1] H. Iino et al. Nat Commun. 6, 6828 (2015).
この度は学士優秀学生賞に選出いただき、誠に光栄に存じます。
研究室に配属された当初は右も左も分からず戸惑うことばかりでしたが、このような賞をいただくことができたのは、飯野研究室の皆様の温かいご指導と支えのおかげに他なりません。
飯野先生には、研究の進め方や実験結果について終始丁寧にご指導いただきました。また、約半年の留学を快くご承認いただいたり、早い段階から学会に参加させていただいたりと、貴重な経験の機会を数多く頂戴してきました。
さらに、先輩方や同期の皆様には、日々の研究活動において親しく接していただき、また、多くのご助言やご指摘をいただきました。
この場をお借りして、心より感謝申し上げます。
このような賞を賜り、身の引き締まる思いです。修士課程ではより一層研鑽を重ねてまいります。