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2025年度優秀修士論文賞 受賞!― 渡邊 泰我さん(植之原研究室)―

AI技術で、長距離光通信の性能限界に挑む。

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2026.04.03

2025年度は電気電子コース124名(9月修了9名,3月修了115名)の中から10名が、優れた修士論文発表を行いこの賞を受賞しました。受賞者にインタビューです。

渡邊 泰我さん

この研究はどんな内容で、どのように世の中の役に立つことが期待できるのでしょうか?

本研究では、長距離光ファイバ通信において通信品質を劣化させる「非線形歪」の補償に、人工知能技術を応用する研究に取り組みました。光ファイバ通信は、インターネットやクラウドサービス、データセンター間通信、海底ケーブル通信など、現代の情報社会を支える基盤技術です。特に近年は、生成AIや5G通信、テレワークなどの普及により、より大容量かつ高速な通信への需要が急速に高まっています。

一方で、光信号を長距離伝送すると、ファイバ中の分散や雑音に加えて、光の強さに応じて信号が複雑に歪む「非線形歪」が生じます。この歪みは、通信距離や伝送容量を制限する大きな要因の一つであり、高性能な長距離通信システムを実現する上で重要な課題となっています。

従来、この非線形歪に対しては、光ファイバ中の伝搬現象を物理モデルに基づいて逆演算する「DBP(Digital Back Propagation)」と呼ばれる手法が知られています。しかし、DBPは高い補償性能が期待できる一方で、計算量が非常に大きく、実装上の負担が大きいという課題があります。

そこで本研究では、深層学習を用いたデジタル信号処理を構築し、従来のDBPと比較しながら、長距離光通信におけるAIの非線形歪補償の可能性を検討しました。

本研究の成果は、将来的に、より大容量で高効率な長距離光通信システムの実現に貢献することが期待されます。特に、通信インフラのさらなる高度化や省電力化が求められる中で、AIを融合した新しい信号処理技術は、次世代の情報通信基盤を支える重要な技術の一つになると考えています。

受賞の感想

修士論文優秀賞をいただき、大変光栄に思います。昨年度、研究室の先輩がこの賞を受賞されたことをきっかけに、私自身も優秀賞への選出を目標の一つとして意識するようになり、研究活動に取り組む大きなモチベーションとなっていました。そのため、今回実際に受賞することができ、大変嬉しく思っています。

このような賞をいただけたのは、植之原裕行教授、相川洋平助教の丁寧なご指導のもとで研究に取り組むことができたからであり、心より感謝申し上げます。また、研究室で多くの助言をくださった先輩方、共に切磋琢磨した同期や後輩たち、そして日々支えてくれた家族や友人にも深く感謝しています。

本研究では、長距離光通信における非線形歪補償という難しい課題に対して、従来手法とAI技術の両面から取り組みました。試行錯誤を重ねながら研究を進めた経験は、自分にとって大きな財産になったと感じています。
今後は、本研究で得られた知見を土台としながら、社会人として情報通信分野の発展に貢献できるよう、努力して参ります。

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