電気電子系 News
山根大輔助教が、平成28年度東工大挑戦的研究賞を受賞しました。
山根助教の研究は、今回受賞の10名のうち3名に送られる、学長特別賞も受賞しました。
挑戦的研究賞は、本学の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界最先端の研究推進、未踏の分野の開拓、萌芽的研究の革新的展開又は解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性豊かな新進気鋭の研究者を表彰するとともに、研究費の支援を行うものです。本賞を受賞した研究者からは、数多くの文部科学大臣表彰受賞者が生まれています。
現在、シリコン微細加工技術の発展により、チップサイズの小型加速度センサが広く普及しています。しかしながら、加速度センサの機械構造に由来する雑音は可動電極(錘)の質量に反比例するため、サイズと最小検出感度のトレードオフが生じ、特に1mG(=1×10-3 G、G:地球の標準重力加速度)以下の微小加速度の検出が困難でした。そこで、私はこれまで、錘材料をシリコンから高密度の金属に置き換えることで、小型加速度センサの高感度化を推進して参りました。
今回の東工大挑戦的研究賞では、従来の小型加速度センサの未検出領域であった1μG(=1×10-6 G)以下のナノG領域を検出可能な小型高感度慣性センサ(ナノG慣性センサ)の創出を新たに提案しました。本提案では金属結晶粒制御による機械強度の向上も行うことで、金属のマイクロ電気機械素子を有するナノG慣性センサの実現を目指します。
本提案センサが実現することで、正確な人体行動解析による医療診断・ヘルスケア、インフラ診断、ロボット精密制御、移動体の自動航行制御システム、宇宙環境計測など様々な応用技術を開拓できます。さらに近年、あらゆるヒトやモノに大量のセンサを配置する時代の到来が予想されており、その際、動作検知の最も基本となる小型慣性センサの高感度化は、様々な「動き」現象の利用・解明においてブレイクスルーとなるはずです。
今回の受賞に関する成果は、益一哉教授のご指導の下、学内外の多くの共同研究者・学生と実施した成果です。関係者の皆様にはこの場をお借りして心より御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、より一層研究に邁進する所存です。