電気電子系 News

益・伊藤研究室 ―研究室紹介 #2―

高周波集積回路からセンサネットワーク・応用技術へ

  • RSS

2016.06.10

電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、IoT/IoEを導くハードウエア技術を創出する益・伊藤研究室です。

教授:益一哉 准教授:伊藤浩之

回路グループ
電気電子コース
研究室:すずかけ台キャンパス・S2棟408号室
教授 益 一哉別窓准教授 伊藤浩之別窓 助教 山根大輔別窓

研究分野 集積回路、アナログ/RF回路、集積化MEMS、通信システム
キーワード センサネットワーク、無線通信システム、高速信号伝送、慣性センサ、Swarm Electronics、IT農業
Webサイト 益・伊藤研究室別窓

主な研究テーマ

我々のグループでは、これまで高速・高周波Si CMOS集積回路技術の研究開発を中心に行ってきました。集積回路の徹底的な微細化・高性能化は、本当にこれまでのやり方で良いのか、産業的に成立するのだろうかと云う課題に直面し、研究・開発・製造、そして応用の全てにおいて変化・変革を求めています。我々は、応用分野(ヘルスケア、農業)の研究も進めながら独自に課題を抽出し、集積回路分野・エレクトロニクスの新分野・新技術を開拓していきます。具体的には、センサネットワーク用途の極超低消費電力無線・センサ回路技術、集積化MEMS技術、超高感度なMEMS慣性センサ技術、気の検出システム、密閉型稲育成システム、獣害対策システム等の研究開発を推進しています。

本研究室は、未来産業技術研究所別窓の石原昇特任教授、道正志郎特任教授、大場隆之特任教授らと密に連携しながら研究・教育を進めています。

最近の研究成果

超高感度慣性センサ

ワンチップ慣性センサ(上図: 断面図、下図: チップ写真)

図1.ワンチップ慣性センサ
(上図: 断面図、下図: チップ写真)

CMOS-MEMSプロセス、CMOS-MEMS統合解析・設計環境技術による慣性センサの超高感度化と超小型化研究を核として、材料レイヤ(曽根正人准教授)と応用レイヤ(三宅美博教授)と連携して、ナノG(注1計測の実現と応用展開をJST CRESTプロジェクトとして目指しています。本研究室で開発中のワンチップ慣性センサシステムは、機械的雑音(ブラウニアンノイズ)を削減するために比重が大きい材料である金(Au)を利用しているところが特徴です。さらに、小型で雑音に強いシステムにするために、MEMS慣性センサとセンサインターフェース回路を図1のように集積化しています。また、材料面からの機械的性質制御や、慣性センサを利用した身体運動解析に基づくパーキンソン病早期発見支援システムの共同開発も進めています。

加速度 1G = 9.8m/s2

センサネットワークシステム・高周波回路技術

図2. 直交バックスキャッタリング回路技術

図2. 直交バックスキャッタリング回路技術

図3. 超低電力インパルス送信機

図3. 超低電力インパルス送信機

実世界から環境情報を取得するためのバッテリーレスなセンサ端末ハードウエア・RF CMOS回路技術と、それを活用したセンサネットワークシステムを中心に研究を進めています。端末ハードウエアの低コスト化・小型化・低消費電力化とセンサネットワーク全体のセンシング性能向上の両立を目指しています。集積回路技術を発展させるだけではなく、確率共鳴や群知能といった技術をセンサネットワークハードウエア・システムに展開して「量が質を生むハードウエア技術」を研究していきます。

近い将来に様々なモノに埋め込まれるセンサ端末は、バッテリーレスで環境から電力を生成(環境発電)することが強く求められます。この時、センサ端末内の無線トランシーバは、極めて低い電力・高い電力効率で通信する必要があります。本研究室では、数十マイクロワット以下の消費電力で動作するRFトランシーバフロントエンド回路や無線通信モジュールを開発しています。図2の回路では100マイクロワット程度の低消費電力動作と多値変調(32-QAM)を両立し、図3の回路は1Mb/s伝送時に2.3マイクロワットという低消費電力動作を実現しています。

応用技術研究(農業用センシング技術)

図4. 完全密閉型稲育成装置 SRP-450

図4. 完全密閉型稲育成装置 SRP-450

センサ・集積回路技術の応用技術として、農業用センシング技術・新システムの研究開発を進めています。稲栽培のレシピ化・365日自動藩種/収穫などを目的としたSun-Rice計画(図4、大場特任教授との共同研究)、猿などの害獣を自動撃退するシステムの研究開発(信州大などとの共同研究)などを進めています。

教員からのメッセージ

益先生より
何か物事に向かう時、常に前向きに考える。前向きな姿勢を失わなければ必ず道は拓けます。
伊藤先生より
多少時間がかかっても自分の頭で自由に考え、チャレンジしてもらうことを重視しています。ワクワクするモノを創っていきましょう!

電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。

お問い合わせ先

教授 益一哉
E-mail : masu.k.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5010

准教授 伊藤浩之
E-mail : ito@pi.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5010

※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットPDFによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。

  • RSS

ページのトップへ

CLOSE

※ 東工大の教育に関連するWebサイトの構成です。

CLOSE