応用化学系 News

福島孝典教授と清水亮太准教授が令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

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2020.06.12

科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めたとして、福島孝典教授(応用化学コース 主担当)が令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞(研究部門)」を、清水亮太准教授(エネルギーコース 主担当)が同 文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞しました。

「科学技術賞(研究部門)」は科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究または開発を行った者が対象です。令和2年度は50件68名が受賞しました。

「若手科学者賞」は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象としています。令和2年度の受賞者数は97名です。

科学技術賞(研究部門)

福島孝典 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授

受賞業績:ナノとマクロを繋ぐ分子技術に関する先駆的研究

福島教授

福島教授

近年の有機合成化学のめざましい発展により合目的的に機能分子を構築できるようになってきました。一方、有機系物質は、原子からなる無機物質とは異なり、形がいびつでしかも柔らかい分子を構成要素とするため、実応用に資する巨視的スケールまで精緻に組み上げることは困難であり、それを実現する方法論が求められています。

本研究では、ナノカーボン系新素材や有機ナノチューブなどの新規ナノ材料を創製するとともに、これらを巨視的スケールに組み上げるための手法開発を通じて、常識を覆す自発的超長距離構造秩序を形成する分子集合体や、有機物質の凝縮相の理解を革新する新物質を見いだしました。また応用展開により、ナノスケールの太陽電池として機能する物質、ソフトロボティクス用アクチュエータ素材、伸縮性エレクトロニクスを拓いた導体などの開発に成功しました。本成果は基礎科学的に新規かつ重要な知見を提供するものであり、ひいては我が国の物質科学の発展に寄与するものと考えられます。

受賞対象となった研究は、共同研究者、研究室スタッフ、学生諸氏の多大なご尽力のもとに成し得たものであり、これまでお世話になった皆様に深く感謝申し上げます。

本研究で創製されたナノから巨視的スケールの物質の例

本研究で創製されたナノから巨視的スケールの物質の例

若手科学者賞

清水亮太 物質理工学院 応用化学系 准教授

受賞業績:酸化物薄膜の原子レベル制御による新奇低次元材料創製の研究

清水准教授

清水准教授

遷移金属酸化物は光触媒や燃料電池等の多彩な物性・機能を示すことから、基礎から応用まで非常に関心の高い物質です。その一方で、その機能を司る表面の原子配列は制御できていませんでした。そこで我々は、「原子レベル基板表面制御」・「高品質薄膜合成」・「非破壊原子レベル観察」の全過程を大気非曝露で行う装置を一から開発し、高品質薄膜を用いたモデル表面における機能の本質に原子レベルで迫りました。その成果として、遷移金属酸化物を初めとした新奇な低次元構造をもつ材料創製と導電性・磁性などの物性制御に成功しました。バルク結晶の理想切断面ではなく、実在する原子レベルの配列構造を提示することで、理論シミュレーションにおける予測精度のさらなる向上に貢献できます。また、このような「高品質材料合成」と「高度計測」を大気非曝露で両立する取り組みは、全固体Li電池等の実用材料の研究分野においても、ますます重要なコンセプトとなっています。

この度、栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に感じております。ご指導くださった先生方、共同研究者に厚く御礼申し上げますとともに、本学・東北大学(前任校)の多大なご支援にも感謝いたします。

原子レベル制御にもとづく物質創製と物性・機能開拓の概要図

原子レベル制御にもとづく物質創製と物性・機能開拓の概要図

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