未来

世界を俯瞰しエネルギーの未来を切り拓く

株式会社東芝
原子力化学システム設計部 化学システム設計第一担当 主務

鈴木 翔 さん

鈴木 翔さん

現在の仕事について教えてください。
放射性廃棄物処理プロセスの設計として、原子力発電所から発生する様々な廃棄物をいかに安全かつ効率良く処理するかを考え、実際のシステムとして実現させることが仕事です。東日本大震災前も後も一貫して福島第一原子力発電所を担当しており、震災直後は現場に駐在し、使命感とともに放射性滞留水回収・処理設備や多核種除去設備を稼働させました。その後、技術的知識を持つ人材の補強として調達部に異動し、原子力発電所向け機材のバイヤーとして2年間国内外の取引先と金額交渉や契約手続を担当しました。現在では再び設計部で海外のパートナー企業と共に福島第一原子力発電所の復旧や国内外の原子力発電所の廃止措置の計画に携わっています。
東工大での経験や学びは、いまの仕事にどう活きていますか?
放射性廃棄物の処理プロセスは化学工学そのものであり、移動論や反応工学、エネルギー操作等、化学工学の全ての講義の知識が活きています。また、先生方はよく「他の分野の勉強をしなさい」と仰っていました。実際、私たちが設計したシステムを稼働させるには、機械や制御、電気、土木等、他部門の設計部、さらに工事部門や工場、研究所等、様々な専門の技術者との連携が必要です。一方、原子力ではその性質上精度の高い仕事が要求されますが、最も重要なことは他部門とのインターフェースです。化学工学を根幹に他の分野に知識の裾野を広げることにより、多くの技術者と協力し正確かつ円滑なプロジェクトの進行に役立っています。
今後の目標を教えてください。
目標は「東芝に鈴木翔ありと言われる人材」と「世界を舞台にした活躍」です。これは入社当時から変わりません。博士後期課程で経験したアメリカ留学にて、世界中から優秀な人材が集まってお互いに高め合う姿がとても印象的で、私も技術や知識の研鑚を積もうという向上心が湧きました。日々の成長を大切にする気持ちは現在も忘れません。優れた人材として社内外から信頼を得ることを第一に、将来は自ら意思決定する立場でプロジェクトを指揮し、世界を股にかけて仕事をすることが夢です。ゆくゆくは、世界を俯瞰し様々な国や機関と東芝をつなぐハブとなって、将来のエネルギーのあるべき姿に貢献していくことを目指します。
最後に、東工大を目指す人に一言お願いします。
私は在学中好きなことをめいっぱいできました。博士論文研究はもちろん、アメリカ留学や他専攻の副専門認定、各種プログラムで留学生や他大学との交流、ピアノリサイタル等、思い出にはきりがありません。東工大は最先端の技術が身近で国際色が豊かであり、さらにリベラルアーツも重視し、当時以上に多様な勉強ができる現在の環境を羨ましいと思います。無限に可能性が広がる東工大で、将来に向けてぜひ大きく飛躍してください。

すずき・しょう(千葉県出身)

2002年
東京工業大学 第3類 入学
2005年
東京工業大学 工学部化学工学科化学工学コース 早期卒業
2005年
東京工業大学 大学院理工学研究科化学工学専攻(博士一貫コース) 飛び入学
2007年
University of Minnesota Department of Mechanical Engineering 留学
2009年
東京工業大学 大学院理工学研究科化学工学専攻 博士後期課程修了
2009年
株式会社東芝 入社

※記事の内容は取材当時のものです

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