電気電子系 News
東京工業大学 工学院 電気電子系の岡田健一教授(電気電子コース 主担当)が、電気電子工学と情報工学分野では世界最大で最も権威がある学会IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers、アイ・トリプル・イー) フェローの称号を授与されました。
2月20日、米国サンフランシスコで開催された半導体集積回路の最先端技術が披露される国際学会(ISSCC、Internal Solid-State Circuits Conference)のオープニングセッションで、授与式が執り行われました。
3月17日には、IEEE東京支部の総会において表彰されました。
3月30日には、IEEE Solid-State Circuits Society Japan Chapterの主催により、IEEE Fellow受賞記念講演会が開催され、「Democratization of Millimeter-Wave Phased-Array Wireless Communication by CMOS」の題目での講演を行いました。
IEEEは、人類社会の有益な技術革新に貢献する専門家組織であり、世界160ヵ国40万人を超える会員が活動しています。フェローはその会員の中で最高級のグレードで、上級(シニア)会員歴が連続5年以上、IEEEの指定する分野で非常に優れた資質と経験を有し、その分野において著しい貢献をした人物に授与されます。毎年、会員数の0.1%しか認定されず、IEEE本部に設けられたフェロー審査委員会のメンバーが厳格な審査を行って昇格を決める業績表彰です。
ミリ波無線通信回路に関する研究
この度、IEEEよりフェローの称号を頂き、大変光栄に感じております。これは、私が長年取り組んできたミリ波無線通信回路に関する研究が国際的に評価されたものです。
スマートフォン等の無線機器では、これまでマイクロ波という電波を用いて通信が行われてきましたが、第5世代移動体通信システム(5G)ではマイクロ波にあわせてミリ波も用いられるようになりました。高速な無線通信には広い周波数帯域幅が必要ですが、マイクロ波は既にさまざまな無線通信システムに割り当てられており、これ以上の高速化が難しい状況にあります。ミリ波は、マイクロ波と同じく電波の一種ではありますが、従来のマイクロ波に比べて周波数が10倍以上高く、広い帯域幅の割り当てが可能なため、非常に高速な通信が可能です。
ミリ波による無線通信は、5Gで利用が始まったばかりですが、社会インフラを支えるために必要不可欠な技術として、今後もその本格化・高度化が期待されています。現在は、将来の6Gや衛星通信等を見据えて、共同研究企業と実用化への研究開発に邁進しております。また、本フェロー選定にあたり評価して頂いた研究成果は独力では成し得なかったものです。共同研究者の皆様や学生の皆様に深く感謝いたします。