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Pham准教授がドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2019」を受賞

次世代スピン軌道トルク磁気抵抗メモリに向けた高性能純スピン注入源の開発

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2019.07.02

物性・材料グループのPham准教授は第11回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2019」を受賞しました。

本賞は、日本を研究開発の拠点として活動しているドイツのグローバル企業9社によるプロジェクトで、日本の若手研究者支援と科学技術振興、そして日独の産学連携ネットワーク構築を目的としている。対象は、材料とエネルギー、デジタル化とモビリティ、ライフサイエンスの3部門における革新的で応用志向型の研究である。

図1:受賞式の様子。コピーライト(© 2019 AHK Japan)。

図1:受賞式の様子。コピーライト(© 2019 AHK Japan)。

ファム准教授はトポロジカル絶縁体を用いて、世界最高性能の純スピン注入源を開発した。この成果は純スピン流で高速書き込みおよび高い耐久性を両立できる次世代の磁気抵抗メモリ技術である「スピン軌道トルクMRAM」の実現につながる。

純スピン流源としてこれまで使われている白金やタングステンなどの重金属は、スピンホール角が低いという問題があった。ファム准教授がBiSbトポロジカル絶縁体に着目し、その薄膜を評価したところ、室温でも超巨大なスピンホール角を示すBiSb(012) 面を発見した。さらに、BiSb 薄膜を使い、従来より1~2桁少ない電流密度で、垂直磁性膜の磁化反転を実証した。

BiSbをスピン軌道トルクMRAMへ応用すると、データの書き込みに必要な電流を1桁、エネルギーを2桁低減でき、記録速度を20 倍に、記録密度を1桁向上させて、従来の揮発性半導体メモリSRAMやDRAMを置き換えることができる。この成果は電子機器の一層の省エネ化をもたらし、数兆円に上るスピントロニクスの新産業を創製できる可能性があり、経済効果は大きいと期待されている。産業界では、本研究成果を用いるプロタイプ素子の開発が始まっている。

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