応用化学系 News
山元公寿教授が第75回日本化学会賞を受賞
東京工業大学の関係者4人が、公益社団法人日本化学会の各賞を受賞しました。授賞式は3月24日に開催された日本化学会春季年会において行われました。
日本化学会によると、化学の基礎または応用、化学技術、化学教育等に関する業績や貢献を顕彰するために、毎年各種の賞を授与しています。2022年度、東工大からは科学技術創成研究院の山元公寿教授(応用化学コース 主担当)と岩澤伸治名誉教授(教育本部 特任教授)が第75回日本化学会賞を受賞しました。また、科学技術創成研究院の塚本孝政特定講師が第72回進歩賞を、中村聡名誉教授が第47回化学教育賞を受賞しました。
この度、日本化学会の栄えある第75回日本化学会賞を受賞することができました。
大変感激しているとともに重い責任も感じております。
研究室を代表しての表彰を受けたもので、スタッフ並びに学生の皆さんの日々の研さんと献身的な努力のたまものと、深く感謝申し上げます。
あわせて、大学からも研究ユニットとしてご支援をいただき、強力に研究推進できましたことに改めて御礼申し上げます。
数原子からおよそ数十原子が集積した1 nm前後のサブナノサイズの物質群は、118種類存在する元素と原子数の組み合わせが無限であるため、多彩な機能をもつ未知の物質が存在するとして、ポストナノ材料として注目されています。われわれは原子精度で原子を扱う科学技術のアトムハイブリッド法を開発し、多元素合金サブナノ粒子と呼ばれる数多くの新物質群を創製することができました。さらに「サブナノ粒子」に周期律があることを発見し、21世紀版の周期表として発表しました。次世代材料に向けた新しい物質化学に少しでも貢献できたことは、大変うれしく思います。
今回の受賞対象となった業績は、二酸化炭素と有機化合物を反応させ、直接化成品の原料となる有用な化合物へと変換する触媒反応の開発に関するものです。私が東工大に着任して新しく始めた研究テーマで、以来およそ20年間に渡って取り組んできたものであり、長年の研究の集大成として今回受賞できたこと、非常に嬉しく思っています。二酸化炭素は反応性が低く、これを触媒量の金属錯体を用いて反応させることは必ずしも容易ではなく、実際の研究では思うように期待した反応が進まないことがほとんどです。このような研究テーマに対し、協力して取り組んでくれた研究室のスタッフや研究員の皆さんに感謝するとともに、研究の最前線で難しい課題に対し挑戦的に研究実験に取り組み、さまざまな試行錯誤の中から目的の反応を実現したり、あるいは思いもよらない結果の中から新しい可能性を見出し成果に結び付けてくれたすべての学生の皆さんに、心より感謝したいと思います。