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田中克典教授が公益社団法人有機合成化学協会の「カネカ・生命科学賞」を受賞

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2023.03.01

東京工業大学物質理工学院 応用化学系の田中克典教授(ライフエンジニアリングコース 主担当)が、公益社団法人 有機合成化学協会より、カネカ・生命科学賞を受賞しました。

カネカ・生命科学賞は、有機合成化学の特定部門で優れた功績のあった研究者に対して与えられる、賛同企業の寄付を基に企業名を冠した賞です。

受賞した研究テーマ

「生体寛容性人工金属酵素の開発を基盤とした生体内合成化学治療」

田中克典教授のコメント

賞状を手にする田中克典教授

賞状を手にする田中克典教授

このたびは有機合成化学分野における栄誉ある賞を頂戴し、関係者の皆様、そして研究室のスタッフや学生諸君に心より感謝申し上げます。生体内のがん細胞で選択的に生物活性分子や薬剤を活性化させて、副作用を起こすことなくがんを治療する方法の開発は、ライフサイエンス分野や創薬化学野において最も重要な課題の1つとなっています。今回私達のグループは、血清アルブミンの疎水性ポケットに様々な遷移金属触媒を導入することによって、金属触媒が様々な生体分子から保護・安定化されるとともに、基質汎用的な人工金属酵素として機能することを発見しました。さらに、この人工金属酵素の表面アミノ基に対して糖鎖クラスター構造を「がん認識ベクター」として導入することで、マウスの特定のがんへ人工金属酵素を効率的に送達するとともに、がん部位で抗がん活性分子を触媒的に合成して副作用なく治療することに世界で初めて成功しました。本成果は「頭で考えて得られた成果」ではなく、「実験室でのセレンディピティーから発展した成果」です。DXの戦略からでは決して得られない、wetな実験化学による発見であり、グループの皆さんが実験室で毎日頑張って手を動かしているからこそ生まれた重要な成果です。wetな実験化学の重要性を評価していただいた受賞であると認識しています。私が代表者として受賞させていただきましたが、普段のフラスコの中の様子を見逃さずにこれを大きな成果へと発展させてくれた研究室の皆さん、そしてこの場を与えてくださった大学関係者の皆様に改めてお礼申し上げます。

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