応用化学系 News
東京工業大学物質理工学院応用化学系の吉川史郎准教授(応用化学コース 主担当)が、2021年度の公益社団法人化学工学会教育賞を受賞しました。3月16日、化学工学会第87年会が開催された会場で表彰式が執り行われました。化学工学会教育賞は化学工学に関する優れた教育(講義、演習、実験等)を教育機関、産業界あるいは学会で実践している個人もしくは複数の共同実施者に授与されます。
受賞の評価対象となった業績題目は「移動現象論分野における創造性教育及び化学工学分野における国際的教育活動」です。
学生が受け身ではなく、授業により身に付けた知識と経験に基づき、「自ら創意工夫して装置を設計し、作り上げる設計型の実験授業により創造性を育成する」という教育理念を実践するための設計型学生実験テーマである「パイピングコンテスト」の開講・担当による創造性育成教育への貢献、初学者には内容の理解が難しい移動現象論についての5件の著書執筆による化学工学・化学技術者教育への多大な貢献、化学工学会関東支部主催の「基礎化学工学講習会」の「流体工学の基礎」を第1回から現在まで継続して担当することによる産業界の化学技術者育成への貢献、ならびに東京工業大学が実施しているタイでのTAIST(タイスト)(Thailand Advanced Institute of Science and Technology)プログラムにおける化学工学分野の教育活動などに対して顕著な教育実績を有しているものとして評価されました。
この度公益社団法人化学工学会の教育賞を受賞いたしました。主な業績として化学工学の基礎である移動現象論のうち運動量移動に関する物質理工学院応用化学系の学生実験授業「化学工学実験パイピングコンテスト」の立ち上げにかかわったことが評価されました。この実験はそれまで受け身であった学生実験科目を創造性育成科目とするために当時の工学部化学工学科のスタッフが全面的に協力して企画したもので、現在まで継続して実施されています。この他旧化学工学科、物質理工学院応用化学系の移動現象論の授業、学会主催の社会人教育を目的とした講習会の講師をいずれも25年以上継続して担当したこと、またそれら授業、講習会の内容に関する書籍執筆などが移動現象論分野における教育活動として評価されました。さらに本学の国際交流事業であるタイ王国との連携大学院TAISTにおける授業担当、オーストラリアメルボルン大学との学生交流事業などへの参画が国際的な教育活動として併せて評価されました。
移動現象論は基本中の基本であるために学生さんにとっては退屈に感じがちですが、通常の座学授業、学生実験について引き続き工夫しながら継続していきたいと考えております。