応用化学系 News
東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の山元公寿教授(応用化学コース 主担当)が、第53回市村賞 市村学術賞 貢献賞を受賞しました。受賞テーマは「原子精度サブナノ粒子材料の開発」です。公益財団法人市村清新技術財団が3月12日に発表しました。4月19日には帝国ホテル東京(東京都千代田区)で贈呈式が行われました。
市村清新技術財団によると、市村賞はリコー三愛グループの創始者である市村清氏(1900~1968)が1963年創設し、現在は市村清新技術財団が表彰しています。日本の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげ、産業分野あるいは学術分野の進展に多大な貢献をした個人またはグループを表彰します。市村賞には市村産業賞、市村学術賞、市村地球環境産業賞、市村地球環境学術賞があります。その中で市村学術賞は大学ならびに研究機関で行われた研究のうち、学術分野の進展に貢献し、実用化の可能性のある研究に功績のあった技術研究者またはグループに贈呈されます。
この度、第53回市村学術賞を受賞することになりました。大変感激しているとともに重い責任も感じております。研究室を代表しての表彰を受けたもので、スタッフ並びに学生の皆さんの日々の研鑽と献身的な努力の賜物と、深く感謝申し上げます。あわせて、大学からも研究ユニットとしてご支援をいただき、強力に研究推進できましたことに改めて御礼申し上げます。今後も、現在の研究を起点として、高分子科学、錯体化学、クラスター科学、触媒化学、超分子化学の分野を融合した新しい化学のフロンティアを拓きたいと願っています。
市村清新技術財団が発表した研究業績は次の通りです。
賞名 | 第53回 市村学術賞 貢献賞 |
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受賞テーマ | 原子精度サブナノ粒子材料の開発 |
受賞者 | 東京工業大学 科学技術創成研究院 教授 山元公寿 |
研究業績の概要 | 受賞者は未踏の「ナノサイエンス」に挑戦し、極めて重要な工業材料の1つである「ナノ粒子」の機能をはるかに凌駕する原子精度のサブナノサイズの粒子の開発に成功している。その原動力となった独自のアトムハイブリッド法はほぼ全ての実用元素70種類に応用可能で汎用性の高い手法として、国際的に高く評価されている。既に数多くのサブナノ粒子のライブラリー化を達成し、ポストナノ材料に向けた新しい物質科学を拓いている。特に、未知物質「超原子」、アルカン酸素酸化や燃料電池の高活性触媒、ポストグラフェンとなるボロフェン類縁体など数多くの革新的な機能材料を創出して、受賞者の科学技術の実用性を実証している。さらに、もの作りだけでなく、サブナノ粒子に周期律があることを発見、これを超周期表として発表している。受賞者の研究は所望の機能を持つサブナノ粒子のオンデマンド合成にもつながるもので、未来材料の誕生につながると期待されている。 |