応用化学系 News
東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)主任研究者の吉田尚弘特任教授(前応用化学系教授、現名誉教授)が、4月10日放送予定の放送大学『特別講義』に出演します。
「分子の履歴を読み解く~地球環境の指標・アイソトポマー~」と題し、アイソトポマーと呼ばれる同位体分子種を計測・解析することで、地球環境のさまざまな物質の起源を探る吉田特任教授の研究が紹介されます。
計測方法が新たに開発されて、環境中の分子・化合物は「履歴書を持っている」ということが明らかになりました。その履歴書は、アイソトポマーと呼ばれる、一つの化学種を構成する多数の同位体分子種にあります。
例えば、二酸化炭素(CO2)には、2種類の炭素の安定同位体(12C、13C)と3種類の酸素の安定同位体(16O、17O、18O)の組み合わせにより、12種類のアイソトポマーが存在します。そして、その自然存在比は起源を基にして循環経路によって変化するため、これを観測してCO2の起源や履歴を特定することが可能です。
番組では、この原理を使って、温室効果ガスや環境汚染物質の起源や挙動を追跡することの重要性や、地球や生命の起源の解明を目指した研究などについて解説します。
『特別講義』は、学術、文化、芸能、スポーツなど、各界の第一人者を取材し、多彩な専門の世界を紹介する特別番組です。今回の撮影は大岡山キャンパスで行われ、地球生命研究所(ELSI)や、吉田特任教授の学生時代にまつわる場所が登場します。
全ての元素が同位体の集合体であるように、全ての分子はアイソトポマーの集合体ですが、アイソトポマーはまだ正確に測ることができません。本特別講義は、本学学生当時から挑戦することを夢見てきた、このフロンティア領域の入り口に視聴者の皆様をお連れし、分子の起源から地球環境、地球・生命の起源への応用に誘う「予告編」です。全編キャンパス内の取材で、本学の紹介にもなっています。