電気電子系 News
こんにちは、電電HPサポーターズの大江です!
今回は、お忙しい中、貴重なお時間をいただき、當麻真奈先生に取材をさせていただきました。
當麻先生は、ナノ光工学や界面科学を駆使した新たなバイオ計測法に関する研究をされています。
以下がインタビュー内容となります。
大江: 海外の大学や研究機関などに勤めていらっしゃったそうですが、そのきっかけや理由などはありますでしょうか。
當麻准教授(以下、當麻): 大学時代から海外で生活してみたいという漠然とした憧れがあったのですが、直接のきっかけとなったのは大学院修士課程在学中の指導教員の後押しでした。また、博士課程進学時に結婚して夫とともに留学したので、生活面での不安が少なかったことも、留学を実現できた理由の一つです。
大江: 前の質問に関連してですが、海外で主に日本と違う点などで苦労したことや逆に良かったところなどはありますでしょうか。
當麻: 苦労したことも、良かったことも沢山あります。最初に海外生活を送ったウィーンでは、やはり苦労しました。例えば、現地での生活はアパートを借りられるまで、1か月間グループリーダー宅に居候することから始まり、大学院の博士課程に入学するにも日本にはない証明書の提出を求められ、途方に暮れたこともありました。一方で、私が在籍した研究所では、博士課程の学生は有期の研究員として雇用してもらえたので、経済的に安定した生活を送ることができたのは、非常に助かりました。また、労働時間や休暇に対する考え方は日本より柔軟で、男性の家庭での役割分担も進んでいますし、仕事を続ける上で沢山の影響を受けました。科学的な面でも、世界の著名な研究者の講演を聞く機会が得やすかったり、国際会議での発表のハードルが低かったりと、様々なメリットがありました。
大江: 當麻先生の研究内容の概要や、今後の応用や発展が期待できる分野など教えていただけると幸いです。
當麻: 私はプラズモニック・バイオセンサーの研究を行っています。この研究では、プラズモン色と呼ばれるナノスケールの金属の微細構造で見られる発色を使って、私たちの健康状態に関係する分子マーカーなどの体液中のタンパク質や、病原体、アレルゲンなどを、小型のカラーカメラで迅速にその場検出することを目指しています。将来はスマートフォンを使って健康状態を把握するモバイルヘルス分野などへと応用していきたいと考えています。
大江: バイオ計測やナノ材料を研究しようと考えたきっかけや本研究の魅力的な点など教えていただけると幸いです。
當麻: 金属ナノ粒子のプラズモニック色はステンドグラスに使用されてきた歴史があり、金属の微細構造はその形状・大きさ・配列・金属種などによって様々な光学特性(発色を含む)が得られるので、作っていて目で見ても面白いのが魅力だと思います。光の波長以下のサイズの微細構造は、メタマテリアルとも呼ばれて、これまでの材料では実現できなかった様々な光学素子の創製を可能にすると期待されています。メタマテリアルとしての性質を持つ金属微細構造を使って、水溶液の試料中から目に見えない生体分子を高感度に検出できると達成感が得られます。
大江: 現在の夢や、今後目標としていることなどはありますでしょうか。
當麻: 研究室を立ち上げる機会を頂いたので、これまでの研究を発展させていきつつ、新しいことに挑戦していきたいと思っています。具体的には国際連携や、共同研究を通して研究の幅を広げていきたいです。また、電気電子系の女子学生比率の向上も目標の一つです。
大江: 電気電子系への進学を考えている学生や、特に本分野を学んだり研究しようとしている学生に伝えたいことやアドバイスなどはありますでしょうか。
當麻: 電気電子系は、研究の対象・スケールが非常に幅広く、裾野の広さが魅力だと思います。電子の動きを制御するナノスケールのデバイスから、宇宙と通信するためのアンテナ、エネルギーから医療・ヘルスケアまで、社会に必要とされる技術の要素が詰まっていますので、皆さんのやってみたい事がきっと見つかると思います。研究生活では行動力や体力、問題解決能力が必要とされる場面があるので、学生の間に色々な経験を積んでおく事をお勧めします。
大江: いかがでしたでしょうか、本インタビュー内容が電気電子ならびに本分野への興味を持つきっかけになれば幸いです。
當麻先生、今回は大変お忙しい中、お時間をいただき、まことにありがとうございました。