電気電子系 News
電気・電子工学分野では世界最大で最も権威のある学会IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:アイ・トリプル・イー 会員42万人)は東京工業大学の松澤昭名誉教授に2022年IEEEソリッドステート回路ドナルド・O・ピダーソン賞(IEEE Donald O. Pederson Award in Solid-State Circuits)を授与すると発表しました。松澤名誉教授は東工大発ベンチャーの株式会社テックイデア 代表・創始者でもあります。松澤名誉教授は「デジタルビデオ機器用システムLSIに向けた低電力のアナログ・デジタル(A/D)変換器開発の先駆的な貢献」により、受賞者に選定されました。
同賞はIEEEが32の専門研究分野の世界的な業績に贈るテクニカル・フィールド・アワードの1つで、集積回路分野における社会への貢献、技術進歩への貢献、専門的なリーダーシップが顕著な個人または3人までのチームに授与されます。1988年創設のIEEE ソリッドステート回路賞を継承した賞で、ピダーソン・カリフォルニア大学バークレー校名誉教授(1925-2004)を記念し、2005年に現在の名称となりました。授賞式は2022年2月にアメリカ・サンフランシスコで開催される2022年国際ソリッドステート回路学会(2022 International Solid-State Circuits Conference、ISSCC)で行われる予定です。
IEEEのテクニカル・フィールド・アワードは本学の電気・電子・情報分野では1986年に末松安晴栄誉教授・元学長、2003年に伊賀健一名誉教授・元学長、2008年に赤木泰文特任教授、2009年に深尾正名誉教授、2010年に古井貞熈名誉教授、2015年に岩井洋名誉教授、2020年に千葉明教授らが受賞しています。
今日、半導体(集積回路)は電子機器のみならず自動車を含むすべての機器の重要部品として、産業活動のみならず国家の安全保障をも左右するものと認識され始めました。私は1978年に松下電器産業(現パナソニック)に入社、2003年に本学に教授として着任し、2018年に本学を定年退職いたしました。この間(現在も)40年以上にわたり集積回路の設計技術開発に従事してきました。
受賞推薦書には次の4つの業績が挙げられています。
詳しくは別紙の受賞業績をご覧ください。集積回路やデジタル映像機器開発についての日本の貢献の一端が示されております。
集積回路分野における日本の存在感が低下している現在、40年程度のスパンで見ると、デジタルTV・ビデオ、ハイビジョンTV、ポータブル映像機器、DVDなどのデジタルビデオ機器・システム開発に日本の果たした役割は大きく、その実現のためにADCやシステムLSIをはじめとする集積回路技術の進展や、環境にまで影響を与えるローパワーエレクトロニクスの振興に果たした日本の役割が大きいことを知っていただければ幸いです。
長年の集積回路開発に関する貢献について認められたことを嬉しく思っております。集積回路の開発は1人ではできません。これまでともに開発に携わっていただいた多くの方々に深く感謝いたしたいと思います。