電気電子系 News

松澤・岡田研究室 ―研究室紹介 #1―

先端アナログ・RF混載集積回路設計 世界最高速ミリ波トランシーバ 世界最高性能・最小電力A/D変換器

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2016.06.07

電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、世界最高速のミリ波CMOSトランシーバLSIの開発を行う、松澤・岡田研究室です。

教授 松澤昭 准教授 岡田健一

回路グループ
電気電子コース
研究室:大岡山キャンパス・南3-312 / 南3-812
教授 松澤昭別窓 准教授 岡田健一別窓 助教 宮原正也別窓

研究分野 RF・アナログ・デジタル混載集積回路設計
キーワード ミリ波無線通信、データコンバータ、 RF回路、PLL、センサー情報処理回路、低電圧・低電力
Webサイト 松澤・岡田研究室別窓

主な研究テーマ

松澤・岡田研究室では、「RF・アナログ・デジタル混載集積回路設計」に関する研究開発を行っています。微細CMOSを用いたアナログ・デジタル混載システムおよび超高速無線通信システムの可能性の追求に主眼を置き、 回路からシステムまでの幅の広い取り組みを通じて、世界最高性能を目指すとともに技術の体系化と実用化を図ります。

最近の研究成果

RF・アナログ・デジタル混載集積回路設計技術は、現在のエレクトロニクスにおいて高性能化、低消費電力化、小面積化、低コスト化を実現する上での重要な基幹技術となっております。私たちは60GHz帯を用いた超高速データ伝送用ミリ波通信システム、リコンフィギュラブルRF-CMOS回路、容量演算や補間技術を用いたデータコンバータ、ダイナミックアナログ回路、0.5V程度の超低電圧で動作する超低電圧・超低電力アナログ回路、センサ情報処理回路などに主眼を置き、エネルギー消費が少なく、環境に優しいグリーンICT社会の実現を目指した研究を行っています。

60GHz ミリ波無線通信システム

学生が設計した作品(60GHz帯無線回路)

図1.学生が設計した作品(60GHz帯無線回路)

私たちは現在、ミリ波帯を用いた無線通信システムを開発しています。特に60GHz帯は世界中の多くの国で幅広い周波数が免許不要で使え、この周波数帯を用いると100Gbps超の超高速無線通信が可能になります。この高い伝送速度はHD映像を非圧縮で無線伝送するワイヤレスHDMIや映画やTVプログラムの瞬時のダウンロードなどを可能にします。

実際に、学生が自分で回路を設計し、最先端のCMOS技術による半導体チップを製作しています(図1)。ミリ波無線機は非常にホットな研究分野で、世界中の大学や企業が競って研究を行っています(図2)。そのような中、当研究室の大学院生がデザインした回路(図3)が、ミリ波帯無線機として現在の無線LANの100倍程度の速度である世界最速の28Gbpsの通信速度を達成しました。

ミリ波無線通信システムの研究競争

図2.ミリ波無線通信システムの研究競争

世界最速を達成したミリ波無線機

図3.世界最速を達成したミリ波無線機

リコンフィギュラブルRF回路

リコンフィギュラブルRF回路の概念

図4.リコンフィギュラブルRF回路の概念

現在、無線通信にはWiFi、Bluetooth、WCDMA、WiMAX等数多くの規格が存在します。 本研究では、全ての無線通信を可能にするマルチバンドRFフロントエンドを微細CMOSにより1チップで実現し、従来の端末より低消費電力化、小面積化が可能なリコンフィギュラブルRF回路により、究極の無線端末を実現することを目標とし研究しています(図4)。

高性能A/Dコンバータ

7bit 2.2GSps A/Dコンバータ

図5.7bit 2.2GSps A/Dコンバータ

アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータは通信システムなどの電子システムの性能向上を図るための最重要技術の一つです。私たちは微細化に伴い性能が劣化する演算増幅器を用いなくても、簡単な2つの増幅器の出力電圧を補間することを提案し、7ビット400MHzの超高速A/Dコンバータを開発しました(図5)。この開発の成功により、60GHzの無線通信において7Gbpsのベースバンド処理を可能にしました。

医療・環境に向けた低電力アナ・デジ混載集積回路

超低電力 12bit 70MSps A/Dコンバータ

図6.超低電力 12bit 70MSps A/Dコンバータ

粒子線検出器と捉えられた飛蹟

図7.粒子線検出器と捉えられた飛蹟

低電力技術は環境への負荷を低減するグリーンICT社会の実現にとって不可欠な技術です。最近はセンサーネットワークやポータブル医療の実現のためにも強く要望されています。そこで、容量とダイナミック回路を用いることで、ナノワットで動作する超低電力A/D変換器(図6)を開発しました。また超低電力ピクセル型A/D変換器を集積し、電離電荷量を計ることができる新型粒子線検出器(図7)を世界で初めて開発し、α線などの放射線や素粒子の飛蹟を捉えることに成功しました。この他、時間差をデジタル値に変換する分解能1ps以下の10bit 70MSps 時間・デジタル変換器や、設計に多くの時間が必要なアナログ・RF回路を自動的に設計する、アナログ回路自動合成技術の開発も行っております。

教員からのメッセージ

松澤先生より
当研究室では、みなさんのアイデアの入った集積回路や、それを用いた数mmの大きさの電子システム、ワイヤレスシステムなどを実際に作ることができます。自分のシステムを作ってみませんか。
岡田先生より
世界最速の無線チップを作ってみませんか?

電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。

お問い合わせ先

教授 松澤昭
E-mail : matsu@ssc.pe.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2508

准教授 岡田健一
E-mail : okada@ssc.pe.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2258

※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットPDFによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。

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