電気電子系 News

藤田研究室 ―研究室紹介 #45―

パワーエレクトロニクスモータドライブ応用/電力エネルギーシステム

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2016.11.29

電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、回路解析から回路の設計、試作、制御アルゴリズムの開発を行う、藤田研究室です。

准教授 藤田英明

電力・エネルギーグループ
エネルギーコース・電気電子コース
研究室:大岡山キャンパス・EEI-404
准教授 藤田英明別窓

研究分野 パワーエレクトロニクス、電気機器、電力システム
キーワード 太陽光発電、モータドライブ応用、高効率電力変換器
Webサイト 赤木・萩原 & 藤田研究室別窓

主な研究テーマ

  • 最新の半導体デバイスと新しい回路方式を活用した高効率・小型電力変換k装置の開発
  • 新しい回路トポロジーを用いた太陽光・風力・小規模水力発電用高効率・低コスト電力変換器
  • インダクタやコンデンサ容量を低減した新しい電力変換器の回路方式と制御方式

最近の研究成果

太陽光発電用高効率 Zig-Zag Connected Copper Converter

Zig-Zag Connected Copper(ZCC)変換器

Zig-Zag Connected Copper(ZCC)変換器

太陽光発電では、太陽電池が発電した直流電力を種々の機器で使用できるように、交流電力に変換するインバータが必要です。インバータには、日の出や雨天の弱い日射から、日中の強い日差しまで、広い動作状態で電力を高効率に変換するC能力が求められます。また、太陽電池からの漏れ電流は、太陽電池の寿命を短くすることが知られており、トランスなどを用いて漏れ電流を抑制する対策が取られていますが、電力変換効率の低下を引き起こします。

当研究室では、チョッパ回路を組み合わせた新しい回路トポロジー Zig-Zag Connected Chopper(ZCC)変換器を開発しました。このZCC変換器は、トランスを用いることなく、漏れ電流を抑制できるだけでなく、比較的低周波のスイッチングでも、交流電流を正弦波に制御できる特長があります。その結果、研究室での試作装置では、98.2%の最高効率を実現しました。既に、この回路方式は、ヨーロッパ向けの太陽光発電用インバータに適用されています。

ZCC 変換器プロトタイプの回路構成

ZCC 変換器プロトタイプの回路構成

ZCC 変換器プロトタイプの動作波形

ZCC 変換器プロトタイプの動作波形

完全光絶縁共振形ゲートドライブ回路

完全光絶縁共振形ゲートドライブ回路

完全光絶縁共振形ゲートドライブ回路

パワーエレクトロニクス回路では、パワーMOSFETやIGBTなどの半導体スイッチングデバイスを高速にターンオン・ターンオフすることが重要です。このためには、ゲートドライブ回路が用いられます。最近の高速かつ高耐圧な半導体スイッチングデバイスを駆動する場合、制御回路や電源回路との間に高周波成分に対しても高い絶縁能力が求められます。制御信号については、これまでにも光ファイバーなどを用いた絶縁方式がありましたが、電源回路との絶縁に課題がありました。

当研究室では、共振形ゲートドライブ回路の技術を研究してきました。これは、ゲート容量(キャパシタンス)の共振現象を活用して、理論的な損失なしに、半導体スイッチングデバイスをオン・オフする新しい回路方式です。その結果、新しいゲートドライブ回路は、わずかな電力だけで動作することができ、レーザーダイオード(発光素子)とフォトダイオード(受光素子)で必要な電力を伝達することができます。新型スイッチング素子のゲートドライブ回路への適用が期待されています。

カスケード電力変換器を用いたパワーフローコントローラ

カスケード変換器を用いたパワーフローコントローラ

カスケード変換器を用いたパワーフローコントローラ

送電・配電系統には、高い安全性と信頼性が要求されます。このためには、電力の需要と供給が一致している必要がありますが、現在の電力系統では、電力潮流(パワーフロー)を積極的に制御することが重要な課題の一つです。

新しいシステム構成として、6台のカスケード変換器を用いたパワーフローコントローラを提案しています。これは、変換器を六角形に接続した回路トポロジーに特長があり、高速な電力潮流の制御と同時に、各カスケード変換器の直流コンデンサ電圧を安定に制御することができます。その結果、20 msで電力潮流を反転する高速な制御特性を可能にしました

パワーフローコントローラのミニモデル

パワーフローコントローラのミニモデル

パワーフローコントローラミニモデルの動作波形

パワーフローコントローラミニモデルの動作波形

教員からのメッセージ

藤田先生より

当研究室では、回路解析から回路の設計、試作、制御アルゴリズムの開発までを行います。これらのすべてが得意な人は少ないと思いますが、むしろ「新しいものを創り出してみたい」と思う気持ちが重要だと考えています。どうせ研究するなら、ここでしかできない、他の大学には真似のできない創造的な研究を行いたいと考えています。

しかし、研究の成果は、実用化されてはじめて意味を持ちます。当研究室の研究課題の多くは、共同研究等のテーマであり、場合によっては、研究室で開発した新しい技術は、数年後には、実用化される場合もある。自分たちで開発した技術や機器が実際に使われるのはとても嬉しいものです。

電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。

お問い合わせ先

准教授 藤田英明
E-mail : fujita@ee.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2696

※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットPDFによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。

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