電気電子系 News

沖野研究室 ―研究室紹介 #43―

新しい大気圧プラズマ装置の開発と医療・環境・材料分野への応用

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2016.11.15

電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。

研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、最先端の大気圧プラズマ装置を開発し、医療・分析・材料等に応用する、沖野研究室です。

准教授 沖野晃俊

電力・エネルギーグループ
ライフエンジニアリングコース・電気電子コース
研究室:すずかけ台キャンパス・J2-1306
准教授 沖野晃俊別窓

研究分野 零下から高温までの新しい大気圧プラズマ装置の開発と医療・環境・材料分野への応用
キーワード 大気圧プラズマ、プラズマ医療、環境分析、表面処理
Webサイト 沖野研究室別窓

新しい大気圧プラズマ装置

大気圧下で生成されるプラズマは、連続的で高速なプラズマ処理を実現できるため、産業応用に有利なツールになります。しかし、大気圧下での安定なプラズマ生成は容易ではないため、従来の装置にはいくつかの制限がありました。沖野研究室では、酸素、窒素、空気、二酸化炭素など、様々なガスを安定にプラズマ化できる「マルチガスプラズマ」、人体にも安全にプラズマ照射できる「ダメージフリープラズマ」、零下から高温まで精密にガス温度を制御できる「温度制御プラズマ」などの新しい大気圧プラズマ装置を開発してきました。これらの技術により、従来の半導体やセラミックス等だけでなく、プラスチック、紙、繊維、液体、生体等のあらゆる物質へのプラズマ照射が可能とななり、大気圧プラズマ応用の範囲が飛躍的に広がっています。

様々なガスのプラズマを生成できるマルチガスプラズマジェット

様々なガスのプラズマを生成できる
マルチガスプラズマジェット

温度制御プラズマでは零下90℃から250℃までのプラズマを生成可能

温度制御プラズマでは
零下90℃から250℃までのプラズマを生成可能

人体や様々な素材に高密度プラズマを照射可能

人体や様々な素材に高密度プラズマを照射可能

大気圧プラズマの応用研究

沖野研究室では、上記のような様々な大気圧プラズマを開発しており、それぞれの特性に適した様々な分野に応用する研究を行っています。

医療関連分野への応用

プラズマ中にはラジカルやイオンなどの様々な活性粒子が存在します。この粒子により、プラズマは殺菌、止血、細胞活性化、創傷治療などの効果を持つことが明らかになってきました。そこで我々は、神戸大学医学部等と共同で、上記のプラズマ装置を駆使した医療関連機器や新技術の開発を行っています。

殺菌では、様々なガスと温度のプラズマを使用して、ドライ、もしくは水中の殺菌を行っています。ターゲットは、医療機器のほか、食品や農業への応用も検討しています。

小型の温度制御マルチガスプラズマジェット

小型の温度制御マルチガスプラズマジェット

大気圧プラズマを照射すると止血効果が得られますが、従来の熱焼灼とは違って照射部に熱損傷を与えないため、短期間での創傷回復が期待できます。この長所を活かした、プラズマ内視鏡治療装置を開発するプロジェクトを進めています。内視鏡の鉗子口は内径わずか4mmなので、写真のような小型の温度制御マルチガスプラズマジェットを金属の3Dプリンタを使用して作成し、内視鏡用の止血・治療装置としての実用化をめざしています。

環境分野への応用

左:微小な液滴に細胞やナノ粒子を包含させてプラズマ中に射出して分析右:低温プラズマを皮膚に照射して付着物を脱離・イオン化

左:微小な液滴に細胞やナノ粒子を包含させてプラズマ中に射出して分析
右:低温プラズマを皮膚に照射して付着物を脱離・イオン化

沖野研では、プラズマを用いた新しい分析装置の開発を行っています。右図のように直径30ミクロン程度の微少な液滴に一つの細胞を封入して高温プラズマに導入することで、特定の細胞中の超微量元素を測定する装置を開発しています。これまでに、55zg(10–21g)というSPring–8を超える検出下限を実現しています。現在は、神戸大学医学部や関西学院大学理工学部と共同で、環境中微粒子、iPS細胞、がん細胞等の分析を行い、環境や医療の分野に貢献するべく研究を行っています。
プラズマを物質に照射すると、表面に付着した物質が脱離されます。この物質をイオン化して質量分析する装置を開発しています。低温プラズマでソフトにイオン化することで、付着物を分解することなく質量分析することが可能になります。これにより、皮膚などに付着した化学物質を超高感度かつ非接触で分析する事が可能になりました。右写真のようなプラズマ脱離・イオン化プローブを作成する事で、汗による疾病の診断や化粧品の分析、さらには大気粉塵等の分析が可能になります。

環境浄化に関連する取り組みとしては、警察庁科学警察研究所(科警研)と共同で、2020年の東京オリンピックのテロ対策に向けた化学兵器分解処理装置を開発しています。大気中の化学兵器を放電処理で分解して、短時間で無害化処理します。また、自動車メーカーと共同で新しい自動車排ガス浄化システムの研究も行っています。

材料分野への応用

表面処理用に開発した、リニア型プラズマ装置

表面処理用に開発した、リニア型プラズマ装置

プラズマを物質の表面に照射すると、プラズマ中の活性種によって、表面付着物が除去されます。さらに、活性種は物質表面と相互作用して表面の官能基を変化させます。また、プラズマ中に物質を混合すると、表面をコーティングすることも可能です。これらの手法で材料の表面を改質し、接着性や塗装性を向上させたり、防汚性や撥水性を付与する研究を行っています。

教員からのメッセージ

沖野先生より
沖野研究室では、学内生のほか、全国の大学や高専等の全ての学部、学科、専攻の皆さんを歓迎しています。プラズマに興味を持つ人なら、これまでの専門は問いません。各自の得意分野を活かしてプラズマの研究を行って下さい。大気圧プラズマや各種の装置開発に興味があり、いろいろな事にチャレンジしてみたい人はぜひ見学にお越し下さい。

電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。

お問い合わせ先

准教授 沖野晃俊
E-mail : aokino@es.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5688

※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットPDFによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。

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