電気電子系 News
風力・太陽光発電などの再生可能エネルギーと電力システムの協調を目指して
電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、21世紀のエネルギーを拓く電力システム技術の開発を行う、七原研究室です。
研究分野 | 電力システム工学、電力工学、発電工学(再生可能エネルギー発電) |
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キーワード | 電力システム、風力発電、太陽光発電、スマートグリッド、需給運用・制御、発電出力変動、電力品質、安定性解析、 安定化制御、パワーエレクトロニクス応用機器 |
Webサイト | 七原研究室 |
2015年4月に開設された当研究室では、太陽光・風力発電が大量に導入された電力システムの安定性を確保する研究、新しい時代に適した電力システムの計画・運用手法の開発や安定性・信頼性の評価などに関する以下の研究を行っています(図1)。
風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー発電(以下、再エネ電源)は地球温暖化などの面で地球環境に優しいエネルギー源として大きな期待を集めています。一方、再エネ電源は、天気によって発電出力が大きく変動するとともに、発電機として誘導発電機やインバータを用いているため落雷時などにおける挙動が火力発電などの在来型電源とは異なっています。このためこれら再エネ電源が大量に導入された場合に電力系統にどのような影響を及ぼすかを的確に評価することが重要です。
当研究室では、下記のように、再エネ電源が電力系統の安定性や電力品質(周波数、電圧など)、経済性等に及ぼす影響についての解析手法の開発と分析に取り組んでいます。
電力系統における事故(送電線への雷撃等)後の過渡領域で進展する各種不安定現象(同期発電機の脱調、負荷供給系統の電圧低下等)に対する安定性を維持することは、安定的な電力供給のために必要不可欠です。太陽光発電(PV)等のインバータ連系電源は、同期発電機を利用した在来型電源と事故時の出力特性が異なり、大量導入により安定性を損ねる恐れがあります。
当研究室では、再エネ電源連系時における電力系統の安定性維持を目的として、以下の課題に取り組んでいます(図3:制御システムの概要)。
太陽光や風力発電の出力は風速や日射強度など天気により大きく変動し、しかもその出力変動を正確に予測することは容易ではありません。また太陽光や風力発電については地域的に分散して設置された場合の出力変動は個々の設備の出力変動よりも小さくなることも知られています(平滑化効果)。一方、近年は蓄電池を用いてその変動補償を行うことが注目されています。
当研究室では太陽光・風力発電の出力変動特性について以下の手法開発や分析とともに、蓄電システムを用いてその変動補償を行うための制御法の開発などに取り組んでいます。
(注)教員2人は、これまで電力中央研究所、東北大学、富山大学などで研究に携わってきました。上記の研究成果はそこでの研究成果を含んでいます。
電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
教授 七原俊也
E-mail : nanahara@ee.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2819
※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。