電気電子系 News
半導体プロセス・デバイスの研究 (パワーデバイス、超低電力集積デバイス)
電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、半導体デバイス技術を基に社会イノベーションを創出する、久本研究室です。
デバイスグループ
エネルギーコース・電気電子コース
研究室:大岡山キャンパス・南3-815
特定教授 久本大
研究分野 | 半導体プロセス、半導体デバイス |
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キーワード | パワーデバイス、低電力デバイス、FinFET、Steep Slopeデバイス、SiC・シリコン、デバイス信頼性 |
環境・エネルギーを重視した持続可能な社会に貢献するため、半導体デバイス技術を基に社会イノベーションを創出していきます。今日の社会で基幹となっているエネルギー分野を支えるパワーエレクトロニクスの将来を担う「ワイドギャップ半導体デバイス」と、ICT分野を支えるULSIの将来を担う「低電力集積デバイス」の基礎研究を通して、新たなエレクトロニクスの応用分野の開拓を目指します。
本研究室では、産学の連携のもと、デバイス信頼性の解析を基に、新たなデバイスの創造を目指しています。日立製作所研究開発グループにおける関係する研究成果について紹介いたします。
パワーデバイスは、発電・送電、鉄道、データセンタの電源などの社会インフラをはじめ、自動車や家電など、幅広い分野で使われている低消費電力化のためのキーデバイスです。多くの応用製品において、超低損失なデバイスの開発やインバータ化などで、高効率の電力変換が行われ、省エネルギーを推進し、二酸化炭素ガスの排出を大幅に削減できるようになってきています。現在、主流であるシリコン(Si)を用いたパワーデバイスの効率をさらに向上するため、ワイドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)を用いたパワーデバイスの実用化を目指し研究開発を進めています。(図2)
出典:D. Hisamoto, et al., IEEE Electron Device Letters, vol. 36, no. 5, pp. 490-492, 2015.
N. Tega, et al., in Proc. ISPSD, pp. 81-84, 2015.
久本 大、電子デバイス界面テクノロジー研究会予稿集、pp. 55-58、2016.
図2.SiC パワーデバイス
高集積デバイスの性能向上は、MOSFETの微細化によって支えられてきました。しかし、MOSFETのスイッチング特性(Subthreshold Swing)には、60mV/桁という理論限界があるため、電源電圧の低減の大きな制約になってきています。そのため、MOSFETに代わる動作原理を導入することで、より急峻なスイッチング特性(Steep Slope)が求められています。Steep Slopeを実現するトンネル現象を利用したデバイスの実用化を目指し、研究開発を進めています。(図3)
出典:久本 大., 電子情報通信学会総合大会講演論文集、pp. SS-98-99, CI-4, 2015.
D. Hisamoto, et al., in IEEE Silicon Nanoelectronics Workshop, pp. 5-6, 2012.
図3.シリコンSteep Slopeデバイス
電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
特定教授 久本大
E-mail : hisamoto.d.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3696
※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。