電気電子系 News
パワー超音波/光および超音波のヘルスケア応用/光ファイバセンシング
電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、超音波や光などの波動現象を用いて人間の健康や安全に役立つ研究を行う、中村・田原研究室です。
研究分野 | パワー超音波、超音波計測、医用超音波、光応用センシング |
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キーワード | 超音波プロセシング、超音波浮揚、超音波モータ、超音波診断、聴力支援技術、光ファイバセンサ |
Webサイト | 中村研究室 田原研究室※2016年4月より、本研究室はそれぞれ単独運営となりました。 |
超音波や光などの波動現象を用いて、人間の健康や安全に役立つ「ライフエンジニアリング」に関する研究を行っている。特に超音波のエネルギー応用・動力的応用、光と超音波の相互作用の利用、光ファイバのセンシング応用などをテーマに、他の方式では実現できない方式の開拓を行っている。
次世代の製薬等のために、超音波の放射力を使って薬液を空中に浮揚させたまま、搬送、混合、分析、分注などの操作を完全非接触で行う技術に関する研究を行っている。非接触とすることで、不純物の混入や分析時のアーチファクトを排除する。
音源と反射器の間に形成される定在波の音圧の節に液滴がトラップされる現象を利用して非接触で操作する。音場モードを動的に制御したり、進行波の利用によって、搬送や混合動作に成功している。容器から必要量の薬液を打ち出すことや、浮揚したまま液量や物性を測定することにも挑戦している。今後、それぞれの動作をより高精度に行うことや、いろいろな処理工程を自由に組み替えられるような、振動系の構成方法を確立したい。また、錠剤の高速搬送や検査に対応することも検討したい。
弾性波である超音波と電磁波である光波を用いることで、それぞれの特徴を生かすと同時に、超音波と光波の相互作用を利用した計測・観測技術を開発している。
右図は、超音波を集束照射することで、その放射力により組織を変形させ、光学的な手法で変形量を正確に測定する内視鏡の構成例である。
WHOによると、聞こえに何らかの問題がある人は人口の5%である。日本では600万人以上に相当するが、高齢化を考慮すると1,000万人に達するとも考えられている。
これまでに補聴器を支援するデバイスや聞こえ支援システムを開発し、難聴者が健聴者とともに楽しめるコンサートへの協力、バスへの実装試験への協力などの活動を行ってきた。今後、スマートホンを利用したシステムの開発や、より多くの公共施設等への応用など、社会実装のための活動を行ってゆく。
高度成長期に集中的にインフラ整備をしたわが国では、道路やトンネルなど多くの土木建造物で耐久性の問題が急激に起きている。また、地震や台風などの自然災害が避けられないわが国では、災害後建物のダメージの迅速な診断が必要である。光ファイバセンサは、光ファイバをセンサとして、光ファイバのどこにどのような歪が加わったのかがわかる有力な技術である。しかし、測定装置が大がかりなため、小規模構造物にはコスト等の見地から応用しにくかった。
本研究室では、ポリマーファイバを使うことで、その可塑性に着目し、変形や歪をファイバ自体が記憶することを積極的に利用している。ポリマーファイバに沿って歪や温度の分布を連続的に測定することに成功している。
電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
教授 中村健太郎
E-mail : knakamur@sonic.pi.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5090
准教授 田原麻梨江
E-mail : tabaru.m.ab@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5051
※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。