電気電子系 News
第5世代移動体通信システム
電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、将来のモバイル通信技術を研究開発する、渡邉研究室 です。
波動・光および通信グループ
電気電子コース
研究室:大岡山キャンパス・南3-614
特定教授 渡邉文夫
研究分野 | 移動体通信・通信ネットワーク・アンテナ工学 |
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キーワード | 第5世代移動体通信、ネットワークアーキテクチャ、ミリ波通信、 Internet of Things(IoT)、Sliced Network、Liquid Network |
モバイル通信は、2000年ごろに数百kbps で実用された第3世代から普及が広まり、2010年ごろには数10Mbps、現在は100~200Mbps もの高速サービスを提供できる第4世代と呼ばれる方式が普及しはじめています。国内だけでも1億6千万台もの携帯電話やスマートフォンが使用されているように、社会にとって欠くことのできない重要なインフラサービスとなっています。10数年で千倍もの高速化という驚異的な技術革新がある最先端分野です。
2020年以降の実用を目指して、第5世代モバイル通信が世界中で研究開発されています。現在の光サービスをも越える数Gbps の超高速化、伝送遅延を10ms 以下にしてロボットなどの制御に使おう、爆発的に増え続けるデータトラヒックに対応できるようシステム容量を10~100倍にしよう、あらゆるものがネット接続される IoT に向けて接続可能数を100倍にしよう、バッテリーの持ち時間を10倍にしよう、など極めてチャレンジングな目標でさまざまな研究開発が行われています。
第5世代システムでは、ミリ波等の高い周波数を使った数Gbps の超高速伝送が可能になりますが、ミリ波はその伝播特性上の特徴から極めて小さなスポット的なエリア(アクセスゲート)になるので、そのスポットを端末が通過する時間はごく短時間になります。これまでのモバイルネットワークのプロトコルでは、端末の移動管理などの手続きが複雑で、データ送信を行う前に端末がスポットを通過してしまい超高速伝送を生かすことができません。
ICN(Information Centric Networking)という従来のIP ネットワークとはまったく違うアーキテクチャを応用して、超高速ミリ波スポットと 4G-LTE を併用しながら session-less でバースト伝送を行うアーキテクチャの研究を進めます。
また、超低遅延の通信を実現するため、ST-DFT-S(Suppressed Tail-DFT-Spread)と呼ぶ新しい無線方式や Dynamic Slice Network という論理的なネットワーク構成の研究を進めます。
電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
特定教授 渡邉文夫
E-mail : fu-watanabe@ee.e.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3697
※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。