電気電子系 News
面発光レーザフォトニクス、光ネットワークデバイス、光集積回路、光センシング用デバイス
電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、新たな光集積デバイスで大容量光通信やセンシング技術を切り開く小山研究室です。
研究分野 | 光エレクトロニクス、半導体レーザ、光通信、光センシング |
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キーワード | 光通信ネットワーク、半導体レーザ、半導体光集積回路、光マイクロマシン、フォトニックナノ構造、レーザレーダ、医療応用フォトニクス |
Webサイト | 小山研究室 |
次世代光通信ネットワークや光センシングを切り拓く新しい光デバイスの開拓を目指しています。マイクロ/ナノ構造の光共振器、光マイクロナノマシン、中空光導波路、スローライト導波路、サブ波長回折格子、金属ナノ構造などの新構造を用いて、高性能半導体レーザ、波長可変光素子、光信号処理デバイス、レーザレーダ用ビーム掃引素子などの光デバイスとその集積化の研究に取り組んでいます。
本学で生まれた面発光レーザの極限性能追求とその大規模集積化の研究を進めています。スパコンやデータセンターの装置間・装置内における光インターコネクトへの適用が急速に進められています。近い将来100Gbps超の高速化のニーズは大きいものの、現状技術は10Gbpsの伝送速度に留まっています。本研究室では、図2と図3に示すように、面発光レーザに微小共振器を横方向に集積することで、光学的なフィードバックにより変調帯域を数倍以上に拡大できることを見出しました。通常の半導体レーザでは、変調速度は、光と電子の相互作用による緩和振動周波数と素子の浮遊容量による帯域制限で律速されますが、本手法では、その変調特性を光学的に制御するものであり、材料などの特性で律速される速度限界を打破できます。一方、面発光レーザに光変調器を集積した変調器集積光源の開拓にも取り組んでいます。横方向に結合・伝搬する光の群速度は、通常の伝搬光に比べて、約1/50以下まで減速した光、すなわちスローライトであることがわかっています。1V以下の微小変調器電圧で10μm程度の超小型光変調器を実現しています。これらの研究は、100Gbps級の高速変調を可能にする超高速面発光レーザ光源を可能にします。
微小機械(マイクロマシン)を半導体レーザに集積して、連続的に波長を広範囲に掃引する機能や波長を自在に制御する新しい半導体レーザの実現に取り組んでいます。例えば、微小な反射鏡を中空に浮かせて、そこに電圧を印可することにより、静電力で鏡の位置を変化させて波長を連続的に動かすことが可能です。また、熱応力による微小アクチュエータを集積して、外部温度変化に対しても絶対波長の動かない新しい半導体レーザ"アサーマル半導体レーザ"を世界に先駆けて実現しています。この新しい光源は、波長多重化による大容量光インターコネクトや高速波長掃引による光干渉断層像などの生体イメージングを可能にします。
周期構造による光導波路を用いて、光の群速度、位相、遅延時間などを制御する新技術の開拓に取り組んでいます。周期構造クラッド層を含むブラッグ反射鏡光導波路を用いることにより、光の群速度を大幅に低下することが可能です。本研究室では、巨大構造波長分散により大きなビーム掃引角を可能とする掃引デバイスを提案し、1,000を越える解像点数(非機械式では世界最高性能)を実現しています。面発光レーザとの集積化により、自動運転用の車載や、ロボット、ドローンにおける光センシング技術への展開など、これから広範な応用が期待されます。
電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
教授 小山二三夫
E-mail : koyama@pi.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5068
※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。