電気電子系 News
ミリ波無線通信 ネットワークの研究
電気電子系では、最先端の研究施設と各分野で活躍中の教員の直接指導により、学生でも世界に誇れる研究成果を出し、自分自身で発表することができます。電気電子系には、大きく分けると「回路」「波動・光および通信」「デバイス」「材料・物性」「電力・エネルギー」の5つのグループがあります。各教員はいずれかのグループに所属しており、研究室単位での研究が行われています。
研究室紹介シリーズでは、ひとつの研究室にスポットを当てて研究テーマや研究成果を紹介。今回は、ミリ波無線通信ネットワークを研究する安藤研究室です。
波動・光および通信グループ
電気電子コース
研究室:大岡山キャンパス・南3-909
教授 安藤真
研究分野 | 電磁界解析、無線通信ネットワーク |
---|---|
キーワード | 電磁界解析、無線通信ネットワーク、ミリ波 |
Webサイト | 安藤研究室 |
右の図は、黄色の点線の先にある○の位置に高周波の波源を置いたとき、緑色で示す一辺10波長程度の方形金属板によって生じる、紙面に対して手前方向への散乱電磁界の寄与を表わしています。高周波では位相が大きく変化するため多くの場所で寄与は打ち消し合い、金属板の中で反射の法則を満足する点や金属板の端の光路長が極値をもつ点から主に寄与しています。このように、電磁界の基本現象の解明に関する研究も行っています。
研究室で開発されたラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)がJAXAの金星探査衛星あかつきに搭載され、宇宙を旅しています。従来のパラボラアンテナでは太陽光まで集光してしまうことが問題であったのに対し、RLSAではそのような問題がありません。軽量化するためにダンボールのようなハニカム構造の基板を用いています。
その後、はやぶさ2にも搭載されました。
学内7拠点にミリ波無線機を設置し、10経路の回線を有するミリ波モデルネットワークを学内に構築しました。本ネットワークを用いて、開発中のミリ波帯超高速無線通信装置の実証を行うとともに、ミリ波帯の屋外電波伝播特性を研究しています。降雨強度、降雨減衰、ビットエラー率(BER)、QoS (Quality of Service)とその相互関係について調べています。また、降雨の局所性を調べ、その特徴を利用した経路切り替えによる信頼性向上など高速・高信頼・安価な無線ネットワークの開発に向けて研究を行っています。
スマートフォンやタブレットPC等の高性能・多機能な携帯無線通信端末の普及に伴い、データ通信を中心とする急激なトラヒックの増加が既存の移動通信システムにおける周波数ひっ迫の大きな要因となっていることを踏まえ、携帯無線通信端末からインターネット網への接続(アクセス系)で発生する大量のトラヒックの一部を周波数ひっ迫度の低いミリ波帯へ迂回させるため、ギガビット超級の伝送速度を有するミリ波帯ワイヤレスアクセスネットワークを構築するための周波数高度利用技術の研究開発を行っています。ユーザの端末へ近距離で瞬時かつ確実に大容量のデータを伝送する無線システム(無線アクセスゲート)等の近距離系ミリ波無線システム、並びに柔軟に配置される近距離系システムを結び、バックボーンとなる幹線通信網に接続するための中距離系ミリ波無線システムによる無線アクセスネットワーク構築技術を研究しています。
電気電子系の全研究室を紹介したパンフレットは広報誌ページでご覧いただけます。
教授 安藤真
E-mail : mando@antenna.ee.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2563
※この内容は2016年3月発行の電気電子系パンフレットによります。最新の研究内容については各研究室にお問合せください。