リベラルアーツ研究教育院 News
リベラルアーツ研究教育院の鈴木悠太准教授が、アメリカ教育研究に関する学術書『学校改革の理論 ーアメリカ教育学の追究ー』で、「2022年度アメリカ教育学会賞」を受賞しました。受賞にあたり、鈴木准教授が次のようにコメントしました。
この度、第二の単著『学校改革の理論―アメリカ教育学の追究―』に対しまして、日本のアメリカ教育学会より「2022年度アメリカ教育学会賞」を受賞しましたこと誠に光栄に存じます。日本国内においてアメリカ教育学の研究の蓄積が厚い中、同学会より学会賞を授かりとても励まされております。これまでにご指導ご支援頂きました皆様方に改めて御礼申し上げます。
同書は、1990年代前半に着手されたニューヨーク大学のジョセフ・マクドナルド(Joseph P. McDonald)とマサチューセッツ工科大学のドナルド・ショーン(Donald A. Schön)による学校改革研究を起点とし、およそ30年間にわたるマクドナルドを中心とする学校改革研究の展開を明らかにした学術書です。
マクドナルドは、「学校改革の記憶喪失(amnesia)は、アメリカの風土病である」と看破し、学校の改革を謳う者が、過去の学校改革や他者の学校改革には目もくれずに、自らの学校改革が真新しいものであると装う欲動を批判しました。マクドナルドは、1980年代半ば以降より引き続く「絶え間ないアメリカの学校改革の時代」を、学校改革の「アクション・リサーチャー(action researcher)」として経験しました。マクドナルドを基軸とする学校改革研究の展開を跡付けた同書は、アメリカ教育学が向き合い続ける中心的な研究課題に対するアメリカ教育学の追究を講究するものです。
その成果に対し、日米の教育学研究における初めての試みであり、現代アメリカの学校改革研究と日本の学校改革研究を架橋する先駆、そして、学校改革の理論と実践を追究する先駆であると評して頂きました。
学校の教師の仕事に学び、学校のより良い現実を共に作り出す学校改革の「アクション・リサーチャー」としての歩みを続けて参りたいと存じます。
アメリカの教育に関する専門的・学問的知見を結集し、その知見を広く公にすることを旨として1989年に設立された学術団体。歴史上、政治・経済・文化等あらゆる領域で最も重要な関係を保ち続けるアメリカと日本両国において、民主主義社会の理念を共有する教育分野での充実した研究・教育活動の進展を重視し、研究活動の充実の促進を図る幅広い活動を行っている。
アメリカ教育学会(Japan Association of American Education Studies)
※ 12月16日 本文の一部を追記しました。
※ 12月21日 本文の一部を追記しました。