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赤木泰文名誉教授のルミナリーセッション

ルミナリーとは  What is a luminary?

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2024.11.14

2024年10月20日から24日まで米国のアリゾナ州フェニックスで Energy Conversion Congress and Exposition(ECCE)が開催された。これは、2009年から毎年秋に米国電気電子学会(IEEE)のパワーエレクトロニクス部門(Power Electronics Society)と産業応用部門(Industry Applications Society)が共同主催している国際会議である。

10月22日(火)の17:30から19:00までの予定でルミナリーセッションが企画・開催された。今年が2回目で、昨年に引き続き2名の著名な研究者がルミナリーに選出された。具体的には、マサチューセッツ工科大学(MIT)名誉教授のジョン・カサキアン先生と東京工業大学名誉教授の赤木泰文先生であった。昨年と今年で計4名のルミナリーは3名が米国人で、米国人以外は赤木先生が初である。

講演中の赤木泰文先生

講演中の赤木泰文先生

赤木先生のルミナリーセッション(Prof. Akagi's luminary session)は、テネシー大学のレオン・トルバート教授の司会で始まった。最初の講演は工学院教授の千葉明が担当し、「赤木泰文教授の経歴と50年を超える研究の旅」と題して経歴と研究業績を15分間で振り返った。続いて登壇したバージニア工科大学(Virginia Tech or VT)のリチャード・チャン教授(General Electric社の元技術者)は、3レベル中性点クランプPWMインバータの回路構成・特長と産業分野への幅広い応用を概説した。3番目は、TMEIC社の玉井伸三氏(東工大電気学部・修士・社会人博士)が「鉄鋼圧延駆動システムへの3レベル中性点クランプPWMインバータの応用」と題し、具体的な応用事例を紹介した。4番目は、ルクセンブルク工科大学のペドロ・ロドリゲス教授が三相回路の瞬時電力理論(p-q理論)の要点を明快かつ簡潔に解説した。続いて、赤木研究室で博士の学位を修得したピッツバーグ大学のファン・ペン教授が、自身の研究成果も含めてp-q理論の応用について講演した。

その後、2件のビデオ講演があった。1件目は、ブラジルのリオデジャネイロ国立大学(UFRJ)のエドソン・ワタナベ教授から、1981年に東京工業大学から博士の学位を取得して帰国し、UFRJでパワーエレクトロニクスの研究を継続しながら2002年から赤木先生とp-q理論とその応用に関する専門書の執筆を開始し、2007年にIEEE Pressから出版できたことなどの紹介があった。2件目は、英国ノッティンガム大学の中国ニンボ校のナディア・タン准教授が東京工業大学在学中の思い出などを明るく語った。

最後に、大きな拍手に迎えられた赤木先生が「大学院生・研究者・技術者へのアドバイス」と題した講演を行った。ガリレオ・ガリレイとアイザック・ニュートンの名言と関連付けながら、p-q理論と3レベル中性点クランプPWMインバータの誕生秘話を披露し、出席者に感銘を与えた。そして、講演終了後にも大きな拍手に包まれた。その後、司会者の呼びかけに応じた出席者がマイクに並び、次々と祝辞を述べた。司会者が閉会を告げると、出席者全員が立ち上がって拍手を送る「スタンディングオベーション(standing ovation)」が自然発生し、赤木先生への賞賛の念を素直に表した。

結局、セッションは予定時刻を20分超過して終了した。出席者と赤木先生との懇談や写真撮影などが続き、ファン・ペン教授が講演者・司会者・関係者に声掛けし、お祝いの夕食会が開催された。

(工学院 教授 千葉明)

 赤木泰文先生のコメント

2024 ECCEの大会実行委員長を務めたローランド・ブルゴス教授(バージニア工科大学)から「ルミナリーの一人に選出された」とのメールが赤木に届いたのは2024年5月19日でした。それから準備を始め、多くの方々のご尽力によってルミナリーセッションを無事に終了することができました。セッションの企画・司会・講演を担当していただいた方々および関係各位に厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。セッション会場には事前の予想を上回る約200名の研究者・技術者・大学院生などが出席しました。多くの出席者の方々から “This is a well-organized session.”“Professor Akagi, you truly are a luminary lighting the way for others to follow.” などの祝辞をいただき、2024年10月22日のフェニックスでのルミナリーセッションは生涯忘れることのない会となりました。

赤木泰文先生(右から二人目)と講演者、参加者

赤木泰文先生(右から二人目)と講演者、参加者

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