電気電子系 News

東工大学生の開発した低温大気圧プラズマ計測法 〜学術誌のHighlight論文に

医療応用も期待される低温大気圧プラズマの電子温度簡易計測を可能に!

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2022.07.25

Japanese Journal of Applied Physics の Highlights で紹介された大西君の論文のAbstract

Japanese Journal of Applied Physics の Highlights で紹介された大西君の論文のAbstract

大気圧非平衡プラズマが、学術・技術の最前線で頻繁に議論される様になってから、既に20年以上が経過しました。水中・液中放電でも生成可能ですし、医療・農業・食品工業・繊維産業など、新たな応用も増えています。ところが、いまだに大気圧非平衡プラズマの電子温度Te・密度Neの計測については、実験室規模で簡便に実行可能な標準的方法が確立されておりません。そこで、汎用的な大気圧非平衡プラズマのTe、Neの計測手段が是非とも必要です。我々も大気圧非平衡プラズマを生成し、その連続スペクトル計測から、電子温度・密度を計測しようと研究を計画し実行しました。電子エネルギー分布関数として、ある特定の形状を仮定して、理論計算と実測スペクトルを比較し、ベストフィッティングパラメーターとして電子温度Te・密度Neが求められることがわかりました。また、得られた値の妥当性は、導出された電子温度Te・密度Neの値を、衝突輻射モデルという信頼できる計算モデルで励起状態数密度を計算し、それと線スペクトル強度の実測値を比較することで実行しました。これにより大気圧非平衡プラズマの電子温度・密度が、実用的で簡便な連続スペクトルの発光分光計測で求められることが確かめられました。

なお、本論文は2021年の同誌のSpotlight論文に選出されましたが、2022年になって、さらに一つ格が上のHighlight論文に、Plasma分野からは唯一選出されました。さらに、応用物理学会 プラズマエレクトロニクス分科会から、「第20回(2022年3月)プラズマエレクトロニクス賞」に選出され表彰されました。

今後、この研究による計測方法が、電気電子工学はもちろん、農業や医療など、様々な各種の応用の現場に広がってくれることを期待しています。

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