電気電子系 News

すばらしい研究者の紹介 #5 - 小寺 哲夫准教授 -

チームワークで量子コンピュータの研究開発に挑む

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2021.03.11

研究室メンバーと極低温冷凍機を立ち上げる小寺准教授(装置右奥)。2019年7月撮影。

研究室メンバーと極低温冷凍機を立ち上げる小寺准教授(装置右奥)。2019年7月撮影。

Q1 令和2年度に本学トップクラスの間接経費獲得とのこと、学長から直接の表彰おめでとうございます。多くの研究費が必要になっていると思いますが、どのような研究をされているのでしょうか。

小寺:次世代コンピュータとして期待されている量子コンピュータの基盤技術や物理の研究に取り組んでいます。量子コンピュータの素子を動作させるためには、絶対零度近くまで冷やせる極低温冷凍機や、低雑音で高性能な制御・測定システムなど、高額な装置が必要です。これらを駆使して、独自のアイデアをもとに、研究を推進しています。

Q2 全学で40人ほどの受賞者がいますが、准教授の受賞者はわずかです。先生は電気電子系のすばらしい研究者であると私は思いますが、今の気持ちはいかがでしょうか。

小寺:ありがとうございます。研究室のメンバー、指導者、共同研究者のおかげです。量子コンピュータの研究は、デバイスや材料だけではなく、回路、システム、ソフトウェアといった、電気電子系の幅広い分野の理解と連携が重要になります。日々是勉強、精進したいと思います。

Q3 先生の研究は、将来、どのように世の中の役に立つのでしょうか。

小寺:社会のシステムが複雑になってきているため、従来のコンピュータでは解けない問題が増加しています。量子コンピュータが実現されれば、解決できるとも言われています。量子コンピュータの実用化には数十年以上かかると言われていました。しかし、近年、Google、IBM、Intel、Microsoftをはじめとする大企業が研究開発に乗り出し、ある種の量子コンピュータは既に使われ始めています。研究開発を進めて性能を高めていくことで、人工知能、医療、創薬、運輸、金融など様々な分野に応用できると期待されています。

Q4 五分の一の受賞者が電気電子系でした。先生が電気電子系に進もうと思ったのはいつ頃、どのようなきっかけですか?

小寺:電気電子系に進んだのは実は教員になってからですね。学生時代は理学部の物理学科でした。量子力学の応用の授業で量子コンピュータを知り、面白そうだなと思いました。量子コンピュータの研究は、当時は基礎学術的な物理学のフェーズでしたが、現在は産業化を見据えた工学のフェーズに入ってきています。今から量子コンピュータの研究を行うなら電気電子系だと思います。電気電子系の幅広い分野の知識、理解、技術、連携がものを言うと思います。

Q5 高校生の時はどのような将来像を持っていましたか?

小寺:高校2年生までは文系で、なんとなく検事か高校の先生になりたいと思っていました。好きな授業は古文と漢文で、逆に物理は赤点を取ったりするくらい苦手でしたね。まさか物理をもろに使う職業に就くなんて当時は全く思っていませんでした(笑) ただ、高校3年生になるタイミングで、ふと理系の研究者になりたいと思い、一念発起して物理の勉強を始めたら急に面白く感じてきたんです。その後は友人や指導者に恵まれて、努力を楽しんでいるうちにここまで来た感じです。

Q6 現在の夢は?また、そのほかこれから東工大に入学してくる皆さんに向けてコメントをお願いします。

小寺:量子コンピュータの研究は、一研究室のテーマには収まらない広がりを持ちます。学内、国内、海外のグループと丁寧に信頼関係を構築して連携し、本物の量子コンピュータをつくりたいですね。これから東工大に入学してくる皆さんと一緒に、ワクワクしながら学び、挑んでいきたいと思います。

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