生命理工学系 News

日本の技術は世界を救う〜革新的な技術からバイオテック企業を創る —博士人材の未来—〜

令和8年度第3回(通算第118回)蔵前ゼミ印象記

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2026.06.26

2026年6月12日、Zoom による遠隔講義にて、令和8年度第3回蔵前ゼミ(通算第118回)が開催されました。

蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?

卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。

講師:齊藤 光 先生

2005 東京工業大学 生命理工学部 生命工学科 卒業
2007 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生体分子機能工学専攻 修士課程修了
2010 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生体分子機能工学専攻 博士課程修了


講師の齊藤 光 先生(Saisei Ventures)

当日の印象記を、広瀬茂久名誉教授が綴りました。その一部をご紹介します。

 さくらんぼやトウモロコシの直売所に、かわいい坊やが立って、売り上げに貢献していた。その子は、大きくなって“日本発の革新を世界へと展開する”Venture Capitalistとなるのだが、その背景には幼少期の店番で培われた「外向的な性格」があったに違いない。幸運は、米国に駐在していた時に泊りがけのバイオ・ビジネス・カンファレンスに参加した際に訪れた。朝食時に偶然隣り合わせたカナダ人と話が弾み、その後の交流を通して、やりがいのある現職への道が開けたからだ。私を含む多くの日本人は、空いた席を見つけて1人で食事をし、チャンスがあったことにすら気付かなかったろう。『かわいい子には旅をさせよ』という“ことわざ”をかみしめながら齊藤さんの話に聞き入った。

 齊藤さんは本学で博士号を取得後、アステラス製薬での研究開発及び米国シリコンバレーでの戦略投資経験を経て、現在はバイオテクノロジー特化型ベンチャーキャピタル(VC)の日本代表として、また3つのバイオベンチャー〔㈱センノ・セラピューティクス、㈱Akatsuki Therapeutics、㈱Surzen Biotherapeutics〕の創業代表取締役として、まさに世界を変える挑戦を続けている。これから自身のキャリアを本格的に描き出す学生に向けて、アカデミアの知がどのように実社会へ実装されるのか、そして博士人材がもつ無限の可能性について、熱く語っていただいた内容を再現してみたい。

印象記の続きは以下のPDFよりご覧ください。

勝丸泰志蔵前ゼミ担当チーフ幹事

勝丸泰志(やすゆき、1977電気 司会)蔵前ゼミ担当チーフ幹事からのコメント

 この度は蔵前ゼミにご登壇いただきまして、誠にありがとうございました。齊藤様が歩まれた道を詳しく聞かせていただきました。高校生の時にきれいな星空を見て宇宙飛行士になろうと思われたようですが、現在は、バイオテクノロジー企業を生み出すベンチャーキャピタルで仕事をされていて、一見すると初期の夢からかけ離れたように見えますが、実は繋がりのある興味の湧くことを追い続けた、素敵なキャリアだと感じました。

 東工大では企業の出入りが多い研究室に入り、企業に興味を持ってもらえる技術を作れと言われたとのことですが、研究が企業に見られていると知ったことは、学生時代から企業を意識する機会を得られ、その後のキャリアにも影響を与えたように思います。企業との繋がりの有無は、研究室選びの一つの視点かもしれません。

 米国では博士号を持つ人が多く活躍していること、そして彼(彼女)らはサイエンスとビジネスに精通していることに驚かれたとのことでした。現在、日本では博士人材が減少していることが課題として取り上げられています。この課題に対して、文部科学省は博士学生に対する待遇の改善、経済産業省は企業に採用を促すなどの対策の動きがありますが、齊藤様のお話を伺って、本質的な課題はどこにあるのかを考えました。

 企業の課題設定に新しさはあるか、博士人材がサイエンスをビジネスに繋げる思考を持っているか、企業と博士人材を繋ぐ仕組みがあるかが鍵になりそうで、前記のような施策では、根本的な改善にはならないように思いました。

 ベンチャーキャピタルは世界が変わる可能性のあるシーズに投資をするとのことですが、後から振り返れば あれが世界を変えたんだということはよくわかりますが、これから投資をしようかというときに、それを見極める力が身についていなければなりません。ケーススタディで紹介された3社はどれも成功すれば世界を変えそうですが、立ち上げるまでの判断や仕掛けてきたことを、機会があれば聞いてみたいと思いました。

 講演タイトルである「日本の技術は世界を救う 革新的な技術からバイオテック企業を創る ---博士人材の未来--- 」の意味がよくわかるお話でしたが、「サイエンスとビジネスを繋ぐ博士人材が日本を救う」とも言えそうです。

 貴重なメッセージが多く込められていて、深く考えさせられる時間となりましたことにお礼申し上げます。

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