生命理工学系 News

自分らしく、幸せに働くために大切なこと —約30年の会社生活から、皆さんにお伝えしたいこと—

令和4年度第1回(通算第92回)蔵前ゼミ印象記

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2022.06.07

2022年5月13日、ZOOM遠隔講義にて、令和4年度第1回蔵前ゼミ(通算第92回)が開催されました。

蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?

卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。

講師:柳瀬 徹 先生

1996年 東京工業大学 工学部 情報工学科卒業


後藤匠先生

講師の柳瀬徹 先生

当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。

 運勢を見てくれる「占い」のように、才能を見つけてくれるWebテストがあるそうだ。その名は「Strengths Finder(SF)」。占いの方は「当たるも八卦 当たらぬも八卦」で、気休めにしかならないが、SFの方は頼りになるらしい。柳瀬さんが試したところでは、彼のSF資質(才能・性格)は、強いものから順に(1)共感性、(2)最上志向、(3)調和性、(4)ポジティブ、(5)運命思考と出たそうだ。これまでの柳瀬さんの人生のアップ・ダウンと上記5つのSF資質を重ね合わせて分析すると、以下のように合点がいくそうだから、今すぐ、柳瀬さんに倣(なら)って後述(第3節)の方法で試してみよう。 柳瀬さんは 小学校4年生の時にロンドンの現地校に放り込まれたが、何とか適応できた。入社直後には現場に送り込まれ3年間も電柱作業に明け暮れた。辛(つら)くて「会社 嫌(いや)だな」という状況にまで追い込まれたが、会社を辞めるところまではいかなかった。これらはSFの4番目と5番目の資質、すなわち「ポジティブな資質」と「運命思考の資質」(今は辛いが、ここで苦労しておけば絶対にためになると考える)が助けになったのだと思えるそうだ。管理職になってからは、状況は一変し“めちゃくちゃ”充実した日々で演題のように「自分らしく、幸せに働く」ことができているそうだ。これもSF資質の「1. 共感性」、「2. 最上志向」(物事をより良い状態に磨き上げることが好き)、「3. 調和性」のお陰だと納得できると共に、「もっと早く自分の資質を把握し、それらを生かしていれば、もっと幸せな会社生活を送れたのではないかと思えるので、参考にして欲しいそうだ。学生にとっては、今後の就職活動においても自分がどういう人間かを説明する時に、SF資質を把握しておけば、正確かつ魅力的に伝えられるに違いない。

 企業の生命線は、優秀な人材を採用し、長く働いてもらうことだろう。それには何が必要か。会社としては、従業員が個性を輝かせ、チームで学び成長できる環境を整え、心理的安全性と内発的動機を高めることにより、社員の幸福感を向上させなければならないが、その手立てとして、(i)若手社員による「川崎支社のスローガン作り」や(ii)社内限定Web上での「社員の自己紹介」とそれを活用したコミュニケーションの活性化、及び(iii)「年末オンライン仕事納め」での“一発芸の披露”などによる一体感の醸成例なども紹介された。

印象記の続きは以下のPDFよりご覧ください。

中島 肇(1977 化工) 蔵前工業会神奈川県支部長

 この蔵前ゼミは、2008年から もう15年近く続く歴史あるゼミです。この間に107名の先輩方に講師を務めていただき、プロフェッショナルの奥義等を披露してもらいました。私の印象ではプロになるには最低でも10年は かかるのではないかと思います。スポーツや音楽などの世界では20歳前後でプロとして活躍している人もいますが、そういう人たちも 始めたのは5~10歳という場合がほとんどですから、厳しい修行を十分に積んでいるわけです。従って、どの分野・仕事においてもプロになるには、それなりの年数を要するという覚悟が必要でしょう。

 幸い時間は万人に共通に与えられ、同じスピードで過ぎていきます。問題はその使い方次第ということになります。先輩の話に耳を傾け、先輩の経験を共有できれば、時間の使い方の名手になれるばかりでなく、先輩が過ごした時間を追体験することにより、先輩の時間の一部を譲ってもらったのと同じ価値が生まれることになるでしょう。見かけ上 時間が増えたのと同じ効果が期待できるのです。このゼミは 第1クォーター、第2クォーター、合わせて4回ありますが、是非、積極的に参加してください。

司会:淺川吉章(1977機械物理、79 MS)蔵前ゼミ担当チーフ幹事

 講演タイトルの副題に「約30年の会社生活から、皆さんにお伝えしたいこと」とあったように、ご自身が経験された事例を挙げ、そこでの課題や気付きから得られたことを、時には先人の言葉も引用して、「皆さんに伝えたいこと」として簡潔な言葉でお話しされていました。これはまさに蔵前ゼミが目指す、これから社会に出る学生に向けての講師自らの経験に基づくメッセージが詰まったご講演でした。

 「働く上での羅針盤」という位置付けの講演とおっしゃっていましたが、ひいては「幸せな人生を築く上で大切なこと」につながり、そのエッセンスは「他人(ひと)にために動く」ことだというメッセージが強く伝わってきました。マズローの欲求5段階説で最上位の「自己実現欲求」を目指せというところで、近江商人の「三方よし」の考え方の説明に時間を割かれていたことが印象的でした。そして、「他人(ひと)のため、世の中のために動けば、必ず自分に返ってくる。大切なのは、その一歩を自ら踏み出すこと。」の実践例が、ご自身が支社長を務める支社の事例だったことも説得力がありました。

 後半の「自分を知る」では、学生がすぐに実践できる自己分析(ストレングス・ファインダー)を紹介され、さっそく本を買った学生もいたのではないでしょうか。「パネルディスカッション」ではパネラーの学生の発言に対して丁寧にコメントされ、さらに上のレベルを目指すためのアドバイスもしてくださいました。充実した蔵前ゼミにしていただいたことに、改めて感謝申し上げます。

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