生命理工学系 News
令和2年度第6回(通算第85回)蔵前ゼミ印象記
2020年10月30日、ZOOM遠隔講義にて、令和2年度第6回蔵前ゼミ(通算第85回)が開催されました。
蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。
卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。
当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。
孔子の生まれ変わりでは?と思わせる話だった。中村さんはアラフォー(40歳目前)世代だ。孔子でいえば、「四十而不惑」(40にして惑わず)世代だが、中村さんは「四十而不或」(40にして枠にとらわれず)派だ。孔子も現代を生きたら、後者だっただろう。『地球温暖化をどう防ぐか?』という究極の目標を見据えつつも、“こうあるべきだと大上段に構え自己犠牲を強いる”ことなく、自分の幸せのためにコツコツと努力し、余裕があれば周りの人をも幸せにし、さらに余裕があれば社会全体の幸せに貢献していきたい、そういう基本的な日々の暮らしを大切にしてこそ持続可能な社会が実現すると中村さんは考えている。世の中や組織の流れに余りとらわれずに、自分の個性にあった最善の働き方をするためには、徹底した自己分析に加え、随所で自分なりの選択(決断)をしなければならない。「選択(decision making)」は難行苦行の一つだが、それを避けては自分を生かすことができない。我が道を照らしてくれるのは「学び」だが、これも習慣化すれば楽しくなるそうだ。実証実験を終え、稼ぎ頭になると期待していた大型プロジェクト(CO2回収プラント)でも、社会の動き次第では足踏み状態になり得ることも紹介したい。将来、大手企業で働く人の参考になるだろう。
印象記の続きは以下のPDFよりご覧ください。
非常にユニークで、驚きの詰まった蔵前ゼミにして頂きまして、誠に有難うございました。学生も、貴職の考え方の多様性に触れて、今後に役立てくれるものと思います。
先ず驚いたのは、ご自分を内向的、ネガティブ思考、成功者ではないと堂々と分析なさったことです。更には、ほとんどは成功しないのだから、楽しまないとやっていられない。不確実な時代には、「学び続ける能力が大切」、「コツコツと実験する」、「会社に従うのは楽である…」、「やりたいことは、やってみれば良い」など、自然体で無理をせず、素晴らしい悟りの境地、達観した考え方を示され、感心致しました。
また、デジタル技術は、若者に有利であるとの言には、大いに納得致しました。今後、世界をリードする新たな社会構築に向けて、若者には大いに活躍して貰いたいと思います。
ある意味では、リモートワークは内向きの方に適した労働環境を提供できる仕組みでもあると考えます。自分の頭で考えを楽しみ、コツコツと仕事をする生き方に適しており、内向きの方々の更なる活躍が大いに期待できる環境のように思います。
最後に、貴職の名言を記憶する為、書き残したいと思います。
1.何がゴールか。全て通過点である。(従って、就職も気楽に)
2.どんな人になりたいか。楽しく学び続ける人でいたい。
3.何のために働くか。自分、家族、周り、社会の幸せのため。
学生も困った時に、貴職の自然体の言葉・考え方を思い出してくれることでしょう。
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さて、小職は今年度で蔵前ゼミ担当チーフ幹事を引退致します。今後は、淺川吉章幹事(1977機械物理、79 MS)に引き継いで貰いますので、引き続きご協力の程、宜しくお願い申し上げます。
私は常々、信頼・情熱・努力が大事だと思っているのですが、今日の話の後半は社会人としての心得に関する内容が濃く、共鳴するものがありました。プリントして配りたいほどでした(印象記でうまくカバーして貰えるのではないかと期待しています)。与えられた仕事でも、中村さん流に楽しくこなしていれば、そのうちにチャンスが巡ってきます。チャンスは誰にでも平等に訪れますが、それをものにするか否かは仕事への情熱次第です。学び続けることで成長を自覚できれば幸せですね、さらに信頼が得られれば最高です。
コロナの影響で「対面」の機会が極端に減っていますが、対面の重要性も忘れないでください。人を動かし、組織を動かし、社会を動かす時の最後の勝負は、対面による人対人の交渉です。三密は避けるにしても、集団の中で、人としてどのように振舞うか、日ごろから心にとめておきましょう。