生命理工学系 News
令和2年度第5回(通算第84回)蔵前ゼミ印象記
2020年10月16日、ZOOM遠隔講義にて、令和2年度第5回蔵前ゼミ(通算第84回)が開催されました。
蔵前ゼミは同窓生による学生・教職員のための講演会です。日本社会や経済をリードしている先輩が、これから社会に出る大学院生に熱いメッセージを送ります。
卒業後の進路は?実社会が期待する技術者像は?卒業後成功する技術者・研究者とは?など、就職活動(就活)とその後の人生の糧になります。
当日の印象記を、博物館の広瀬茂久特命教授が綴りました。その一部をご紹介します。
「“不便だ!”とか“面倒だ!”と感じることさえできれば、あなたは成功できる」と聞いて安心した。その不便さ・面倒さに慣れてしまわないで、何とかそれを技術的に克服すれば自分自身のためにもなるし、場合によっては社会の変革にもつながる大きな仕事になる。技術者として取り組むべき仕事のヒントは「面倒がり屋」の周りに溢れていることになる。例えば、「文章を書くのは面倒だ。特に気持ちを伝えるのは難しい」と多くの人が思う。そこで松元さんが取り組んだのが「絵文字文化の普及」だった。タクシー待ちの長い行列に並びながらタクシーの相乗り方式も考えた。LINEやUberが出てくる前のことだが、残念なことに当時は“まずまずの成功”を収めはしたものの世界的普及の壁を越えられなかった。製品開発は早すぎても遅すぎてもダメで、タイミングが大事だということを痛感しているそうだ。成否にはタイミングがあるにしても、松元さんが強調した「チャンスはどこにでも落ちている」は、学生には目からウロコだったのではないだろうか。IQと並んで 社会で必要とされるEQ(Emotional Quotient)や「人生、長いようで実は意外と短い」という話も示唆に富んでいたので、それらに重点を置いて紹介したい。
印象記の続きは以下のPDFよりご覧ください。
途中参加になってすみません。受講生の顔が見えないのは寂しい気がしますが、若い人に有益な話だったと思います。Zoom講義が定着しつつありますが、今日の講義で推奨されたEQ(心のIQ)を磨くには、やはり大学のキャンパスに足を運んで先生や仲間の表情を見ながら議論するのが一番望ましいと思いますので、コロナとうまく付き合う方法を探っていきましょう(私は本年〔2020〕9月から本学の幹事を仰せつかっていることもあって、大学がコロナ禍で困っているのはよく分かります)。
あるサイクルで難題は巡ってきます。1960年代後半には大学紛争が吹き荒れ、本学もバリケード封鎖され卒業式がなかった年もあります。社会に出ても様々な問題に遭遇します。そんな中で、しっかりと仕事ができる人というのは、頭がいいということとは別で、逆境でも何かを吸収して成長する人です。コロナ禍中での学生生活を不運と思わず、いっぱい吸収して成長につなげてください。蔵前ゼミもその役に立てば幸いです。
例年の受講者は、Q1Q2(春夏学期)に比べQ3(秋学期)は少ないのですが、本年はZOOM授業の効用でしょうか、昨年の3倍の60名の参加があり賑やかな蔵前ゼミになったように感じました。
人生を冷静に分析し辿り着いた松元さんの結論、「人生は長いようで短い」は名言だと思います。たしかにフルタイムで仕事に打ち込めるのは学生時代から社会人の初期にかけての10年間程度と子育てが終わって親の介護が始まるまでの10年間程度しかありません。松元さんのように40代後半にして、このような冷静な分析ができるとは、素晴らしいと感じました。
小職の場合は、以下のような大雑把な目標を設定していました:①汗を流す仕事でなくアイディアで勝負せよ。②仕事が与えられたら、とにかく、まずはその仕事に打ち込んでみよ。③「志」を持て、目標を数値化せよ。このように心掛けて何とか東工大卒としてのキャリアを全うできましたが、今日の松元さんの話の第➊項目「チャンスはどこにでも落ちている」を聞きながら、①のアイディアの源泉が意外なところにあったことを悟りました。②③に関しても、松元さんの第➌項目「IQと並び社会で必要とされるEQ能力」を磨いて、プレッシャーに動じない自己管理力、本音を理解し説得力の強化につながる人間関係の構築力を身につけておけば、より充実した現役時代を過ごせたのではないかと思った次第です。最後の第➐項目「学生時代に磨いておいた方が良いこと」に出てきた“学割(国際学会の参加費や宿泊代の大幅割引)を利用しての海外イベントに参加しよう” も大切なご指摘と感じました。
緻密な分析に基づく貴職のアドバイスは具体的でわかりやすく、学生の就職・キャリアデザイン・人生設計に大いに役立つだろうと思いました。お礼申し上げます。